重たい水を車いすに乗せて、片道30分の帰路に就く高齢者(2月27日撮影、南丹市日吉町)

重たい水を車いすに乗せて、片道30分の帰路に就く高齢者(2月27日撮影、南丹市日吉町)

給水する南丹市の職員(同市日吉町・日吉支所)

給水する南丹市の職員(同市日吉町・日吉支所)

【地図】京都府南丹市の場所

【地図】京都府南丹市の場所

 京都府南丹市日吉町で2月25日から3月3日にかけて大規模断水が発生した。市は2月24日から取水を止めたにもかかわらず、市民に十分な情報が伝わらないまま25日、断水に至った。4~5日間にわたり不便な生活を強いられた市民からは「取水停止の段階で徹底して広報してくれれば対応策が取れたのに」と憤りの声が漏れる。

 断水は2月24日午後、殿田浄水場(同町殿田)が取水する田原川沿いの事業所からインキの流出が確認されたことが発端。浄水場は河川工事で午前から取水を止めており、解除しようという矢先の出来事で、配水池に清浄な水を送り込めなくなった結果、25日昼ごろから断水した。

 殿田、志和賀、保野田の約400世帯に影響が及び、市は4カ所に給水拠点を設けて対応した。道の駅「スプリングスひよし」は温泉施設などの休業に追い込まれ、3小中学校では給食が提供できなかった。

 市上下水道部によると、断水の恐れが見込まれた24日夜に2回、防災無線を通じて節水要請を行った。しかし、多くの住民の耳には留まらず、断水は「突然」と受け止められた。

 「断水になるかもしれないと早く伝えてくれたら水を風呂にためておけた」。27日、給水拠点の日吉支所まで30分歩いてやってきた男性(72)が漏らした。水を車いすに乗せ、雨中を重い足取りで帰った。40代女性は「高齢者が多く、断水は大変。取水を止めた時点でもっと広報するなど、しっかり対応してほしい」と訴える。

 市は数千人が使っている無料通信アプリLINE(ライン)やフェイスブックの公式アカウントを使った発信もしなかった。広報手段を十分に生かしたとは言いがたく、市には「初期対応が悪い」「いつ解消するか」といった苦情や問い合わせが約120件寄せられた。

 山内守副市長は「防災無線を流せば市民に伝わると考えていた。LINEなどあらゆる手段で繰り返し広報する必要があった。解消時期も一定のめどを示すべきだった」とし、対応改善を進める意向を示した。