せっかく秋も深まり紅葉の時期だというのに、あろうことか風邪をひいてしまいました。

 冷えてこわばった体をさすりながら冷蔵庫を開けて中をゴソゴソと探してみると、何日か前の冷えて硬くなったごま豆腐がありました。ごま豆腐は吉野葛(くず)とゴマが主原料の精進料理。吉野葛は血行を促し体を芯から温める効果もあるので、古来、風邪や胃腸不良の時の民間治療として利用されてきました。

 それをふんだんに使ったごま豆腐は、きっと風邪っぴきの私に効果てきめんだろうと、冷やご飯と共に土鍋に入れてだしを張り、静かに炊いてみたらば、硬くなっていたごま豆腐もゆるっと軟らかくなり、お米もたっぷりのおだしの中で粒同士がほどけてとろりと煮え、ごま豆腐の雑炊が出来上がりました。まるでこの雑炊のように、私の冷えた体もぎゅうっと硬くなっていた心もゆるりと解きほぐれたのは言うまでもありません。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan