京都市内でゲストハウスなど簡易宿所の廃業が急増している。

 2016年度は16件だったが、17年度73件、18年度147件と、近年は前年度の倍以上のペースで増えている。本年度も9月までの半年間で98件にのぼり、最多を更新しそうだ。

 ホテルより安く、民泊より規制が緩い宿泊施設として爆発的に増えたが、供給過剰で値下げ競争が激化した。

 18年10月からは市内の宿泊施設の利用者を対象に「宿泊税」がスタート。さらに来年4月から完全実施される市の独自規制「駆け付け要件」の影響もあるようだ。一定の場所に管理者の駐在などが求められ、人件費負担が増す。

 簡易宿所は「冬の時代」を迎えつつあるとも言われる。

 「駆け付け要件」規制は、訪日客の受け皿として適正な民泊を増やすために導入された。

 違法民泊を巡っては騒音やごみの放置、深夜の出入りなどが問題化してきた。

 国は自治体による過度な規制をけん制する指針も公表したが、市は一定のルールを上乗せして「全国で最も厳しい内容」を目指した。昨年6月の改正旅館業法施行に合わせて、条例で簡易宿所にも民泊同様の要件を義務づけた。

 オーバーツーリズム(観光公害)が市民生活に影響を及ぼしており、一定の規制はやむを得ない。近隣への配慮を欠いたような施設が撤退・廃業しているなら問題ないだろう。

 事業者側からは駆け付け要件の厳しさも指摘される。だが、本来なら駆け付けるだけでなく、問題が起きないよう常に管理者を置いてほしいという周辺住民の思いもあるのではないだろうか。

 一方で、京都を訪れる観光客はさまざまである。市内には安価な宿泊費や宿泊客同士の交流を強みにして観光客の受け皿になっている簡易宿所もある。

 そうしたまじめな施設がきちんと営業できる仕組みになっているかどうか、実態に即した対応が求められる。

 簡易宿所と共生を目指す地域の取り組みも注目される。地域住民が管理者の役割を担えないか、事業者と協議を進めているところもある。

 地域にとっては空き家の解消などに効果的な半面、宿泊者がトラブルを持ち込む恐れもあり、模索が続いているようだ。

 市民が心から歓迎し、多様な交流が広がる―。そんな「持続可能な観光」を京都でどう実現するか、知恵を出し合いたい。