やはり延期して徹底検証するべきではないか。

 2020年度からの大学入学共通テストで予定されている国語と数学への記述式問題の導入だ。

 共通テストの焦点だった英語への民間検定試験導入の方は、受験生の居住地域や経済状況による格差への対応策が間に合わないとして見送られた。

 だが、もう一つの柱である記述式問題の導入についても前途は多難だ。50万人超に及ぶ回答を短期間に公平に採点できるかという懸念や、マークシート式と違って自己採点が難しいため受験生が出願先を決めにくい問題もある。

 延期などを求める声は多く、先日も東京都の高校生らが4万2千人の署名を集めて実施中止を文部科学省に要請している。

 暗記型の知識ではなく、思考力や判断力、表現力を育てる入試改革の理念は否定しない。だが信頼を得られないままの見切り発車は乱暴だ。翻弄(ほんろう)されるのは受験生であることを忘れてはならない。

 昨年11月に実施された2回目の試行調査では、国語の記述式問題で1回目よりも解答や採点がしやすい出題にしたが、それでも0・3%の採点ミスがあった。50万人の受験で1500人に影響が出る計算だ。

 実際の成績と自己採点のずれは国語で3割に上り、記述式問題の採点の難しさを物語っている。

 大学入試センターは、高校生ら約2万人の協力を得て、11日から本番前で最後となる大規模検証を始めた。本番で採点を担うベネッセコーポレーションのグループ会社も参加している。

 だが今回の検証は複数の採点者によるチェックなどセンター側の採点作業の改善が目的で、自己採点を巡る課題の解消は対象外という。本番では採点にアルバイトが加わるという話もあり、受験生らの不安は消えそうにない。

 センターは簡潔で採点しやすい設問にして受験生の懸念に対処したい考えだ。ただそれだと採点はぶれにくくなっても、思考や表現の力を測る導入目的からは遠ざかりかねない。

 そんなジレンマの中で毎年安定した設問と採点を行い、信頼される共通テストにしていけるか疑問を拭えない。

 立ち止まって共通テストの制度設計から見直すことも必要だ。各大学の2次試験に記述式を委ねる選択肢があってもいいのではないか。誰のための入試改革か。原点に立ち返った議論を求めたい。