市街地に寺院の巨大な屋根が目立つ京都市中心部の街並み。長年、寺社の多さが市税収入に影響していると指摘されてきた(京都市東山区から)

市街地に寺院の巨大な屋根が目立つ京都市中心部の街並み。長年、寺社の多さが市税収入に影響していると指摘されてきた(京都市東山区から)

京都市に寄せられた市民意見の要旨。寺社への課税を求める意見が目立った

京都市に寄せられた市民意見の要旨。寺社への課税を求める意見が目立った

 京都市の財政難が深刻化する中、寺や神社に税負担を求める市民の声が目立ちつつある。市民の負担増が避けられない一方、固定資産税などを免除されている寺社が不公平感を抱かれているようだ。ただ宗教界も新型コロナウイルスの打撃を受けて台所事情は厳しく、寺社関係者には困惑が広がっている。

 「観光客からもうけている寺社から税収を得られないか」「寺社の税免除はあまりに不平等」―。そんな意見が、昨年夏に行われた京都市の行財政改革(行革)案への意見募集で相次いだ。財政危機からの脱却を目指す行革案に対し、寄せられた意見は約9千件。うち約240件が寺社に負担を求める意見だった。

 背景には、宗教都市・京都ならではの財政事情もある。宗教施設は固定資産税が非課税となり、お布施やさい銭など宗教活動で得たお金も課税されない。そのため京都市では、他都市より税収が少ない理由の一つに寺社の多さが長年指摘されてきた。一方、行革案には保育料や敬老乗車証の利用者負担増が並んだことから「負担を上乗せする前に、拝観料から税を徴収すべき」といった声が上がる結果につながったようだ。

 中には古都税の復活を求める声も41件あった。1985年に市が導入した古都税は、有料拝観者から1人50円を徴収して年間10億円の増収を図った。だが信教の自由を侵害するなどとして一部寺院が反発し、金閣寺や清水寺が拝観を停止するなど市と対立した。観光客が減るなど影響は大きく、約2年半で廃止されたが「財政危機の今こそ、もう一度検討すべき」との意見も少なくなかった。

 僧侶や神職は、こうした声に戸惑いを隠せない。

 ある神社は「お守りやお札は非課税だが、それ以外のグッズ(絵はがきなど)は課税対象となる。税金を納めていないわけではない」と説明する。別の寺も「収入がなくて、住職が働きに出ている所も多い」「住職は給料制で会社員と同じ。所得税などは源泉徴収されている。お堂や庭の維持にかかる支出は一般家庭と比べものにならない」と理解を求める。

 コロナ禍による法事の縮小や参拝者の減少で、多くの寺社が収入減に直面している。