来年はやめるからといって納得できる話ではない。

 政府は、国の予算を使って首相が主催する「桜を見る会」を来春は中止すると発表した。

 安倍晋三首相の地元後援会員が多数招待され、公的行事を私物化しているとの批判の高まりをかわす狙いだろう。

 中止の理由として、招待基準の明確化やプロセスの透明化を検討し、予算や招待人数を含めて見直すとしている。

 そのいずれにも問題があったと政府が認めたに等しい。60年以上続く行事を急きょ取りやめるのはよほど後ろめたいとみえる。

 早期の幕引きを図りたいのだろうが、政権をかさに国民の税金も使った利益誘導ではないかという疑念は深まるばかりだ。

 桜を見る会は、首相が各界で功労、功績のあった人を慰労する公的行事として1952年から毎年4月に開いている。

 招待基準は不透明で、安倍政権下で参加者は2014年の約1万4千人から今年は約1万8千人、支出額は約3千万円から約5500万円に急に肥大化している。

 大勢の地元支援者を招いている疑惑の的が首相自身だ。野党の追及に「招待者の取りまとめには関与していない」と説明してきたが、首相の事務所が地元・山口県の後援会関係者から参加者を募り、観光を兼ねたツアーを案内していた事実が明らかになった。

 内閣官房は、首相の事務所から推薦された招待者の功労、功績といった適否は精査していないと認めており、関与せずという首相の説明は通らない。

 招待者は著名人らに交じり、無料で飲食や土産が提供される。公費による支援者接待との批判が出るのは当然で、公選法の禁じる寄付行為に当たる疑いも拭えない。

 与党の閣僚、議員に推薦人数が割り振られていた実態も浮上している。当初、二階俊博自民党幹事長は「選挙区の皆さんに配慮するのは当然」と開き直ったが、長期政権のおごり、公費の重みへの鈍感さに驚くばかりだ。消費増税や社会保障改革で検討する負担増に国民の理解が得られるだろうか。

 首相の支援者ツアーを巡り、事務所が参加費を一部負担したり、資金集めしたりしていれば法に抵触する恐れも指摘されている。

 政府は、桜を見る会の招待者らの関係書類を「廃棄した」として逃げ腰だが、首相自身の説明責任が問われている。自ら事実関係を明らかにすべきだ。国会の場で徹底した実態解明が求められる。