山間部のカーブを走る自転車(京都市北区中川)

山間部のカーブを走る自転車(京都市北区中川)

 京都市と福井県小浜市を結ぶ国道162号(周山街道)では、週末になるとサイクリストたちが気持ち良さそうに疾走する。信号が少なく走り応えのある起伏が多い人気のコース。だが、山間部では路側帯を含む道幅が狭い箇所もあり、自転車が集団で走る姿に不安を感じる人も少なくない。「自動車も多いので、いつか大事故が起こりそう」という声が、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。記者が実際に訪ね、確かめてみた。

 10月下旬の日曜朝、京都市右京区京北から北区中川までの周山街道を自動車で走ったところ、自転車を追い越すには道幅が狭くて危険に感じた箇所がいくつもあった。
 北区中川で木材家具店を営む男性=西京区=は「店周辺の周山街道は道幅が狭く、急カーブでトラックもよく通る」と指摘した上で「自宅から自動車で通っているが、自転車とぶつかりそうになったこともある」と心配げに話した。
 午前10時。店の前を2台の自転車が坂を下って行った。後方の自動車は追い越すことができず、前方からは対向車がやってくる。一歩間違えれば事故になりかねない状況。週末にはよくある光景という。「自転車専用の道が整備されれば、安全になるのだが」と店の男性はつぶやいた。
 観察を続けた。5台が縦一列に並んで規則正しく走る集団があった一方、自転車2台が並走して車道をふさぎ、後方の自動車からクラクションを鳴らされるグループも。道路交通法違反に当たるが、自転車をよけるために自動車が黄色いセンターラインを越える場面も見た。約3時間で自転車25台が通過した。
 右京区京北や南丹市美山町はサイクリストが多く集まる地。午後1時ごろ、多くのサイクリストが休憩で立ち寄る道の駅「ウッディー京北」(右京区京北)で取材した。
 宇治市の40代男性は「自転車をきっちり整備し、装備も調えている。よく走る道なので危ないとは感じない」と言い切った。一方、家族3人でサイクリング中の会社員男性(53)=大阪府枚方市=は「道が狭くて危ないのは確か。自転車と自動車が共存するためには、互いにマナーを守って走るしかないのでは」と話し、秋の周山街道を駆け抜けて行った。

■譲り合う気持ちが大事

 全国高校総体の自転車競技で2度の総合優勝を誇る北桑田高(京都市右京区京北)の自転車競技部では、どのように安全に工夫を凝らしているのだろう。安全運転を学ぶために、練習に同行した。
 同部は、北区中川周辺の国道162号(周山街道)を練習コースに入れていない。市野育人監督(36)は「道が狭くて車通りも多い。生徒の安全を考えてのこと」と話す。
 練習は学校を発着点に、道幅が比較的広い周山街道を南丹市美山町方面に向かって走り、府道佐々江下中線を経由する1周33キロのコースだ。
 市野監督と伴走車に乗り、後方から練習風景を見た。ドライバーから見えやすくするために部員は5人一組の3グループに分かれ、それぞれ縦一列となり、車道のぎりぎり左端を走る。自動車が追い越しやすいように、各グループは自動車5台分ほどの間隔を空けている。
 さらに、グループを走力で分けて一定の速度を保っており、自動車が追い越そうとすると減速して先に譲る。前方を走るグループの部員が手信号を出して右左折などの確認を後方へ伝えるなど、連係を徹底している。
 このように市野監督は交通マナーとルールに細心の注意を払っている。3年の男子生徒(17)は「点滅するライトを前後に付け、走る位置や手信号に気を配っている。事故に遭わないよう常に気持ちを引き締めている」と真剣な表情で話した。