大塚愛さんの「さくらんぼ」のメロディーで替え歌のように歌えると話題になっている浄土真宗の聖典「正信偈」

大塚愛さんの「さくらんぼ」のメロディーで替え歌のように歌えると話題になっている浄土真宗の聖典「正信偈」

 2003年に発売された歌手大塚愛さんのヒット曲「さくらんぼ」のメロディーにのせて、浄土真宗の寺や家庭で日常的に読誦[どくじゅ]する聖典「正信偈[しょうしんげ](正信念仏偈)」を読むと、歌詞と偈文の切れ目が一致して同じテンポで替え歌のように歌えると、インターネット上で話題になっている。発端となった僧侶のつぶやきは2万回以上リツイート(転載)され共感が広がっている。

 「正信偈」は浄土真宗の宗祖、親鸞の主著「教行信証」の一部で、七言120句からなる漢詩。浄土真宗の教えを凝縮しているほか、その教えを伝えたインド・中国・日本の7人の高僧を紹介する。室町時代に活躍した本願寺中興の祖、蓮如が日常的に読誦するよう勧め、真宗門徒の家庭では朝夕に読み上げる。

 「正信偈」と「さくらんぼ」の共通点を見つけたのは北九州市にある浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)の永明寺の住職、松崎智海さん(43)。松崎さんは法事の帰りに車の中で「さくらんぼ」を聞いている際に何かに似ている、と直感。同宗の別の聖典「讃仏偈[さんぶつげ]」が合うかと思ったが、「正信偈」がマッチすることに気づいたという。

 一方、「みほとけ」の名前で、インターネット上で数々の仏像の形態模写「仏像ものまねシリーズ」を展開する野口実穂さん(24)=神奈川県鎌倉市=は、このツイートを見てカラオケボックスに向かった。以前からアイドルグループAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」にのせて「般若心経」を読むことができると考えていた野口さんは、「確かに正信偈もさくらんぼで読めるかも」と思ったという。

 前奏に続いて「正信念仏偈!」と題を絶唱した後、冒頭「帰命無量寿如来[きみょうむりょうじゅにょらい]」から17句目「本願名号正定業[ほんがんみょうごうしょうじょうごう]」まで、曲の1番でテンポよく歌えたという。野口さんは「正信偈の区切り通りに、さくらんぼの歌詞やメロディーがぴったりで、本当にびっくりした」と驚きを隠さない。

 仏教音楽研究者で京都女子大非常勤講師の福本康之さん(49)は「偶然の一致だと思うが、興味深い発見。日本の仏教はその時々の芸能の力を借りて普及してきた。多くの人が仏教を知るきっかけとしては面白いのでは」と話す。