地方鉄道の経営が厳しさを増し、運行本数を削減する動きが加速している。

 JR各社が今月のダイヤ改正で実施した削減規模は、民営化以降で最大となった。

 JR西日本が在来線で運行を取りやめたり運転区間を短縮したりした本数は530本で、昨年10月改正時の約4倍だ。

 人口減少などで減る傾向にあった乗客数が、新型コロナウイルス禍による外出控えや在宅勤務の普及で一段と落ち込んだのが響いている。

 減便は通勤通学や外出の利便性を低下させ、まちづくりや生活の質にも影響する。

 コロナ収束後も完全には利用客が回復しないとみられる中、運行の縮小が「地域の足」の切り捨てにつながらないよう、自治体や住民を交えて対応策を検討する必要がある。

 今回の改正で京都や滋賀では昼間時間帯の削減が目立った。

 東海道線の米原-草津間の新快速や山陰線の亀岡-園部間、片町線の同志社前-木津間などの普通・快速がそれぞれ1時間あたり2本から1本にされた。

 関西6府県などでつくる関西広域連合は「住民の生活基盤を揺るがしかねない」と危機感を表し、コロナ後は減便を元に戻すよう要望した。だが、見通しは厳しいようだ。

 JR西は大都市部の路線や新幹線で稼いだ収益でローカル線の赤字をカバーしてきたやり方が成り立ちにくくなってきたと強調。不採算路線に関し「今考えなければ地域の輸送自体が廃れてしまう。新幹線や都市圏のサービスに影響を与えかねない」とする。

 ローカル線維持については、1日1キロ当たりの平均乗客数を示す指標「輸送密度」があり、かつては4千人未満がバス転換の目安の一つとされていた。

 国土交通省によると、2020年度はJR6社で総営業距離の57%に上り、コロナ禍前の19年度から16ポイント増えた。

 JR西は管内でさらに深刻な「2千人以下」の路線の収支を4月に開示する方針で、京都を通る路線では関西線や小浜線が含まれる。

 経営努力だけで乗り切るのが難しいのは確かだ。

 国交省が先月、ローカル鉄道の再構築を議論する有識者検討会をスタートさせたのも危機感の表れといえる。JR、私鉄も含めた鉄道の利用促進策やバスへの転換などに向けた政策の在り方を7月にまとめる。

 検討会では、富山市が富山駅を発着するJR高山線での増便や駅新設で利用を促した社会実験が紹介された。その成果を踏まえ、同線は本数と利用客の増加を実現した。

 沿線自治体との協議を重ね、バス路線への転換なども試算した上で、公有民営化方式による存続が決まった近江鉄道(滋賀県)の例もある。

 鉄道を維持していくため、自治体の関与の仕方によっては住民の負担増の議論も出てこよう。将来を見据え、鉄道事業者と沿線自治体が地域の公共交通の在り方を具体的に描いていくことが必要だ。