電力の安定供給のもろさが浮き彫りになった。

 経済産業省は東京電力と東北電力の管内に「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を発令した。大規模停電を避けるために企業や家庭に節電を呼び掛けたが、電力需給は綱渡り状態が続いた。

 宮城・福島両県で震度6強を観測した地震により火力発電所が停止している中、東日本で気候が真冬並みに戻って暖房の需要が伸びたことが要因だ。

 停電は市民生活に大きな影響を及ぼす。改めて電力逼迫への備えを見直さなくてはならない。

 同警報は、電力の需要に対する供給の余力を示す「供給予備率」が3%を下回る場合に出される。

 東電と東北電の管内計16都県では、家庭での暖房抑制や事業所のネオン消灯が要請された。自家発電に切り替えた自動車工場もあった。それでも日中は電力使用量が供給量を上回る時間帯が続いた。

 電力需給の見通し判断は的確だっただろうか。地震で東北の火力発電所が停止したのは16日夜だ。事前に対策が取れなかったのか、点検する必要がある。

 悪天候で太陽光発電の出力が下がったことも影響した。

 電力会社側は発電量を増やそうと、稼働中の火力発電所を増出力運転し、揚水式水力発電を稼働させた。

 他のエリアの電力送配電会社から電力融通も受けた。

 地震で損傷した東北地方の火力発電所計6基の中には大型クレーンが根元から折れたり、変圧器の配管が破損したりして、復旧のめどが立っていない発電所もある。早期の操業再開に向けて総力をあげてほしい。

 一方、稼働している火力発電所にも懸念がある。老朽化が進み、燃料となる液化天然ガス(LNG)はロシアへの経済制裁の影響で輸入が滞ることが予想される。順調にいくかは見通せない。

 今回のような電力不足は他の地域でも起こりうる。

 冷暖房の電力需要が増す冬と夏は需給が逼迫しがちだ。昨冬には寒波で全国的に電力需給が危ぶまれ、関西電力管内では一時、電力使用率が99%に達した。

 発電量を増やすのは容易ではない。ピーク電力の平準化や日々の生活の節電を徹底したい。省エネ効果のある製品の普及も重要になろう。

 太陽光発電の活用拡大を進めるには蓄電池の整備も不可欠だ。エネルギーの在り方を考えていく必要がある。