新しいブレザーの制服を前に話す大谷高の生徒会執行部のメンバー。男子は学ランがなくなる=京都市東山区

新しいブレザーの制服を前に話す大谷高の生徒会執行部のメンバー。男子は学ランがなくなる=京都市東山区

製造する業者がなくなった学ランのカラー

製造する業者がなくなった学ランのカラー

 男子高校生の制服で、詰め襟学生服(学ラン)を、ブレザーなどに変更する動きが京都府内で再燃している。学ランを廃止する流れは1980年代以降にも起きたが、今回の動きは、性的少数者(LGBTQなど)への配慮や、襟に付けるプラスチック部品「カラー」の製造が昨年終了したことなどがきっかけだ。府内では女子生徒の制服をセーラー服とする府立高が4月からなくなるが、男子の学ランも岐路に立っている。

 私立の大谷中・高(京都市東山区)は4月以降、1875年の創立時から制服としてきた男子の学ランをブレザーに切り替える。きっかけは、カラーの生産終了だった。カラーは首の汗が服に付かなくしたり、襟の形を整えたりする役割がある。これまで大阪府東大阪市のラベル印刷会社、精巧社が別の会社から事業を引き継いで国内で唯一製造していたが、昨年初めに「市場が縮小し、厳しくなった」(西﨑光彦社長)として終了を決めた。

 近年は、カラーがなくても、襟の上部を白い線状に装飾してカラーのように見せる学ランも増えている。しかし、同高は「10~20年先の未来を考えると今、変えるべき」と変更を決めたという。

 生徒会執行部会長の2年中西怜さん(17)は「学ランは着心地が苦しいという意見もあった。変更は楽しみ。ここから学校も新しく生まれ変わってほしい」と笑顔を見せるが、卒業生でもある同高の男性教諭は「学ランは人気もあったので、さみしい思いもある」と漏らす。

 京都府立高でも学ランをやめる動きがある。田辺高(京田辺市)は2023年度からやめて、男女とも同じスタイルの制服にする方向で調整している。現在はイタリアのアパレル大手ベネトン社ブランドの制服で、女子はブレザーが好評だが、価格が割高なのが難点という。「(22年度から)新入生全員にタブレット端末を購入してもらわなければならないこともあり、制服の価格を抑え、性的少数者にも配慮するため変更する」(同高)

 一方で、学ランを継続する高校も多い。私立の男子校、洛星中・高(京都市北区)は「学ランはスクールアイデンティティーでもあるので変える予定はない」。ただ、カラーを使用しているため襟に白い線が付いたタイプに変えるという。

 制服メーカーなどによると、学ランをブレザーなどに変更する流れは、1980年代に起き出した。当時は不良行為をする生徒に変形学生服が広がっており、その反動で見直しへとつながった。ここ1、2年は性的少数者らへの配慮からやめる学校が相次いでおり、今後もその傾向は続くとみられている。

 一方で、制服という制度自体も考え直すべき、という識者もいる。京都華頂大の馬場まみ教授(服装史)は詰め襟学生服について「軍服に由来し、戦前の帝国大や師範学校などエリートたちの制服として導入された。戦後は生徒の管理のしやすさから高校で広まった」と分析。その上で「着る服は根本的に個人が決めるもの。多様性が尊重されるべき時代に、みんなが同じ服を着ることを良しとする社会の側も制服についてもう一度考えた方がよいのではないか」と指摘した。