最後となる予定の防火ふれあいコンサートで、息の合った演奏を披露する京都市消防音楽隊(3月13日、京都市南区・市消防学校)

最後となる予定の防火ふれあいコンサートで、息の合った演奏を披露する京都市消防音楽隊(3月13日、京都市南区・市消防学校)

平安建都1200年を記念し、京都市内で開かれた第1回全国消防音楽隊マーチングフェスティバルで演奏する市消防音楽隊(1994年3月)=市消防局提供

平安建都1200年を記念し、京都市内で開かれた第1回全国消防音楽隊マーチングフェスティバルで演奏する市消防音楽隊(1994年3月)=市消防局提供

1970年に開かれた大阪万博の会場で、演奏を披露する京都市消防音楽隊(同年4月、大阪府吹田市)=市消防局提供

1970年に開かれた大阪万博の会場で、演奏を披露する京都市消防音楽隊(同年4月、大阪府吹田市)=市消防局提供

 設立から67年超、市民への防火広報を担ってきた京都市消防音楽隊が、3月末で廃止された。市の財政難に伴い、年間約1億円のコストを削減するために廃止を決めた。「苦渋の決断だった」とするが、市民からは「残念」との声が上がっている。

 音楽隊を持つ京都市警察部が京都府警に移管されたのに伴い、1955年12月に発足した。現在は正職員3人、1年更新の会計年度任用職員13人が所属。防火広報のふれあいコンサートや、幼稚園や老人ホームでの演奏など、年180回前後の公演を行ってきた。コロナ禍が広まった2020年度以降は大きく減らしたが、演奏動画を月1回以上、ウェブにアップしている。

 同局によると、音楽隊には人件費のほか、衣装代や楽器の維持管理費などで多額の費用がかかる。昨年8月に策定した行財政改革計画には、25年度までに消防局全体で150人削減する方針が盛り込まれ、「消防隊や救急隊を削減すると消防力の低下につながる」として廃止を決めた。正職員3人は定年退職や消防局内の他部署へ異動する見込みで、会計年度任用職員の13人は新たに契約しない。

 京都市を除く全国19の政令指定都市で、音楽隊があるのは17市。近隣の大阪市は07年3月、財政難を受けて廃止した。一方、名古屋市消防局は16年4月、命名権を民間に売却して「ポッカレモン消防音楽隊」と改称し、年間契約料333万円を活動費の一部に充てて存続させた。京都市が行財政改革計画案に対して昨年募集した市民意見では、「廃止して、これからどうなっていくのか」などの声が複数寄せられた。

 音楽隊は3月13日、最後となるコンサートを南区の市消防学校で催した。新型コロナウイルス感染予防のため、観客は入れず、インターネットで生配信した。春の陽気に包まれる中、勇壮な「消防行進曲」や美空ひばりのメドレーなど7曲を披露。合間には火災時の避難方法を紙芝居で紹介した。演奏終了後、34年間、所属した阿古雅樹隊長(60)は「演奏を聴いた市民が『やっぱり火の用心は大事やね』と言ってくれるのが励みになった。感謝の一言です」と感慨深げに語った。

 消防局は音楽隊廃止後、インターネットを活用した広報を進めるという。