まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」の削減に向けた取り組みが活発になってきた。

 10月から食品ロス削減推進法が施行され、小売や外食業をはじめ、売れ残りや食べ残しを減らすための見直しが広がりつつある。

 実際に浮かび上がってきたのは、食べ物を無駄にしないだけでなく、取り組みによって購入や廃棄の費用、労力を省ける効果も小さくないことだ。

 「もったいない」精神と、経済的にも「おいしい」メリットの還元を社会全体に広げ、ロス削減への好循環へつなげたい。

 国内の食品ロスは2016年度の推計で643万トンに上る。全国民が毎日、茶わん1杯分のごはんを捨てている計算だ。

 01年施行の食品リサイクル法で事業者の廃棄抑制や、肥料などへの再資源化が一定程度進んだが、全体のロス発生量は近年、高止まりしている。

 このため「国民運動」に位置づけてロス削減を促すのが、今年5月に超党派の議員立法で成立した推進法だ。国が基本方針を本年度中にまとめ、自治体は具体的な推進計画をつくる。

 本腰を入れ始めたのがコンビニ業界だ。

 セブン-イレブンは、衛生管理の向上を理由に9月からおにぎりや弁当、パンの消費期限を最大6時間延ばした。ローソンに続き、期限が迫った食品購入に5%のポイント還元をする実験も始めた。定価重視から実質値引きの「見切り販売」によるロス削減へ踏み出した形だ。

 恵方巻きの大量廃棄が社会問題となった季節商品の販売では、ファミリーマートが完全予約制に変更した。今夏の土用の丑(うし)のウナギ弁当は売り上げが2割減ったが、廃棄費用の大幅減で店舗の利益は平均約7割増えたという。資源や輸送、店頭の労力の節減も含めると、何重もの効果といえるのではないか。

 スーパーでも、賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると納品させず、3分の2を過ぎた店頭商品は撤去するといった商慣行を見直す動きにある。

 京都市と市内スーパー10店で昨年、牛乳やパンなどを賞味・消費期限当日まで販売する社会実験を行った。廃棄数が約3割減り、売り上げは増えたという。ただ、店側は日付チェックの人手確保や期限切れ販売への懸念も根強いようだ。効果的な方法を検証し、広げてほしい。

 外食業界も、食べ残しの持ち帰りへの対応に加え、余った食材で料理を提供できる店と客をスマートフォンで結ぶ新ビジネスも登場している。捨てずに顧客開拓につなげる発想だ。

 世界では年間13億トンの食料が廃棄される一方、8億人以上が栄養不足に苦しむ。15年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、30年までに1人当たり食品廃棄量の半減を掲げた。

 日本も00年度比でロス半減を政府目標とするが、全体の4割を占める家庭での廃棄が最近は微増傾向にある。消費者の意識と行動が大きな鍵を握る。

 過度の鮮度へのこだわりや買いだめを控え、家計も助かる「始末」を心掛けたい。