建設中のマンション。ホテルとの競合で近年は供給が減る中、首都圏や海外の富裕層から別荘としての需要が強まっている(京都市内)

建設中のマンション。ホテルとの競合で近年は供給が減る中、首都圏や海外の富裕層から別荘としての需要が強まっている(京都市内)

 京都市が国内外の富裕層から「別荘地」として人気を集めている。近年は外国人によるマンション購入なども目立つ。ただ、別荘は所有者の滞在時以外は空き家のため、増えすぎれば地域の空洞化を招く懸念もある。観光都市化を背景にした別荘の増加について、「課税の検討」を求める声も識者から上がる。

 市中心部にある3LDKのマンションに約1億円の高額をつけたチラシが出来上がると、下京区の不動産仲介会社社長の男性(71)は、売れるか不安になった。だがすぐに首都圏の男性が「セカンドハウス用に」と購入したという。

 男性の会社には8年ほど前から、他府県から物件の問い合わせが多数舞い込むようになった。「7千万円以上の物件購入者は、中高年の別荘用がほとんど」と明かす。

 総務省の推計では、市内の別荘数は2013年で1500戸。しかし「実際はもっと多い」(男性)との見方が不動産関係者の間では専らだ。

 海外からの引き合いも強まる。7年前に創業し、外国人向けの不動産などを取り扱う会社(下京区)の社長の男性(31)は「アジアの人は、歴史ある建造物がきれいに保存されている京都が好きで、憧れている」と語る。

 社長の男性によると、市内では5年ほど前から外国人による不動産取得が増え始めた。交通アクセスの良い市中心部などで、賃貸経営のための投資用が多いが別荘用も全体の3割ほどを占めるという。特に中国では個人の土地所有が認められておらず、「海外で家を持つのは、自国で味わえないうれしさがある」と話す。

 購入者の多くは、アリババやレノボといった世界企業の幹部ら。数回目の京都訪問の際に、気に入った物件を買っていく。「上海や香港などの国際都市と比べると、京都は不動産が割安。東京五輪や大阪万博も控え、別荘需要はさらに増える」と見据える。

 だが、市外の人の別荘所有は通常、住民票の異動もないため人口にカウントされず、空き家として見なされる。多くの住戸で夜に明かりがともらず「幽霊マンション」と地元でうわさされたり、管理組合の運営に支障を来したりする物件も出始めている。

 別荘を巡っては、昨年に徴収が始まった宿泊税に関する答申をした市の有識者委員会が、新税を検討した経緯がある。ただ、答申では、課税対象の把握にかかる膨大なコストなどから「引き続きの検討」を求めるにとどめた。

 当時の有識者委の委員長を務めた同志社大法学部の田中治教授(税法)は、全国で唯一、別荘所有者に対して課税している静岡県熱海市を例に挙げた上で、「インフラ整備やごみ処理などで行政負担が増えるのなら、課税を真剣に考えるべきだ」と指摘する。