一審の死刑判決を支持した控訴審判決を批判する堀弁護士(24日午後1時15分、大阪市北区・大阪司法記者クラブ)

一審の死刑判決を支持した控訴審判決を批判する堀弁護士(24日午後1時15分、大阪市北区・大阪司法記者クラブ)

  高齢男性4人に青酸化合物を飲ませたとされる連続殺人事件で、大阪高裁は24日、死刑とした一審京都地裁の裁判員裁判判決を支持した。控訴審での弁論は3月の初公判のみで、裁判は即日結審。主任弁護人の堀和幸弁護士(京都弁護士会)は「進行した認知症を鑑定せず、訴訟能力に問題がないと判断した過程と結論には非常に疑問が残る」と批判した。専門家からも、控訴審の審理の進め方を疑問視する声が上がった。

 堀弁護士は判決後、大阪市の司法記者クラブで会見し、「主張が認められず残念。控訴棄却という結論に合う部分をつなぎ合わせた判決という印象だった」と述べた。控訴審で却下された再度の精神鑑定について「一審から1年以上経過しており、現段階での被告の訴訟能力を分析すべきだった」と指摘した。

 判決後の弁護人との面会で、筧被告は「すべて先生にお任せします」と話したという。上告審については「訴訟能力について何かしら考えてもらえるような主張を改めてしたい」と話した。

 裁判員制度の開始後、一審で死刑判決が出た裁判の控訴審が即日結審したケースは珍しい。2人が殺害された鳥取連続不審死事件や、3人が殺害された首都圏連続不審死事件はいずれも一審で死刑判決が出たが、控訴審では複数回公判が開かれ、被告人質問などが実施された。

 この日の筧被告の判決公判を傍聴した甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は「被告は進行性のアルツハイマー型認知症を患っており、現状の訴訟能力に懸念がある。被告側の主張が手続きに反映されたのか疑問があり、審理は十分とはいえない」と指摘。その上で「死刑は取り返しのつかない刑罰。被告の権利保障の面から、控訴審での手続きが尽くされるべきだった」と語った。