2016年の京都市長選で、門川大作市長の選挙母体が選挙に関わった自民党の国会議員秘書5人に「労務の対価」の名目で現金を渡していたことが分かった。

 公職選挙法では、届け出た運動員以外へ報酬を支払うことは禁じられている。今回の支出は運動員の買収ともとられかねない。

 市長は「会計について監督する立場になく、関与もしていない」としているが、自身の選挙に関わる問題である。経緯を調べ、きちんとした説明をしてほしい。

 関係者の話などでは、選挙母体「未来の京都をつくる会」は秘書5人に現金45~15万円を渡したという。うち2人は京都新聞の取材に受け取ったことを認めている。

 選挙母体の事務を担う自民府連も支出を認めたが、「選挙運動の謝礼ではない」としている。

 支出は、政治資金収支報告書では「人件費」として処理されていた。総務省は、人件費に該当するのは政治団体職員の給与や諸手当といった経常的な経費だとしている。臨時的な労務への対価は対象にならない可能性がある。

 そもそも、選挙運動は自発的に無報酬で行うことが原則だ。選挙に絡んで対価を支払う行為は、公選法に抵触しかねない。どのような根拠で支出を決めたのか、自民府連の判断も問われる。

 不透明な支出がなされた背景には、政治資金収支報告書の規定のあいまいさがある。人件費の項目は総額だけ記載すればよく、支払先の氏名や個別の金額は明らかにしなくてもよいからだ。

 報告書を受け付けた府選管も内容についての調査権限はない。チェックが行き届かない仕組みを利用する形で現金支出がなされたと勘ぐられても仕方ない。

 収支報告書を巡っては、府議、京都市議が代表の政治団体が17年に支出した政治資金のうち、内容や支払先が明らかでない金額が88団体で計約8千万円に上ることが京都新聞の取材で判明している。

 ここでも、5万円未満の支出は明細を記載しなくてもよいとする資金管理団体に関する規定が、カネの流れを見えにくくしている。

 かつて各地の議会で問題となった政務活動費については改革が進み、府議と京都市議では全ての支出が公開対象となった。

 収支報告書を巡っても、透明性を高める改革に率先して取り組むべきだ。有権者の監視の目が届かない制度の「抜け穴」を放置し続ければ、首長や地方議員を見る目はいっそう厳しさを増すだろう。