安土城の天守台にスマートフォンを向け、天主が復元された情景をARで楽しむイメージ図

安土城の天守台にスマートフォンを向け、天主が復元された情景をARで楽しむイメージ図

大手道が復元されている安土城跡(2020年7月撮影、近江八幡市安土町)

大手道が復元されている安土城跡(2020年7月撮影、近江八幡市安土町)

 織田信長の居城・安土城の復元プロジェクトに取り組む滋賀県は、デジタル技術を活用して城や城下町を「見える化」する基本計画をまとめた。現地の風景にコンピューターで制作した情報を重ね合わせるAR(拡張現実)などで天主や城下町など6ゾーンの「復元」を図る。築城450年となる2026年度の公開を目指して、25年度には一部公開する予定。

 築城開始からわずか10年で廃城となり、謎に包まれた安土城を「見える化」することで、県内外の人と価値や魅力を共有する狙い。19年度にプロジェクトを開始し、復元のあり方をアンケートするなどして20年度にはデジタル機器を用いた先端技術での復元に決定。昨年度は有識者らで検討懇話会を開き、基本計画を取りまとめた。

 基本計画では、復元を重点的に進める6ゾーンは▽天主▽主郭部▽安土山▽城下町▽城下町周辺・街道▽内湖・琵琶湖―と設定。天主ゾーンについては、最新の調査研究に基づき、約35メートルあったとされる天主の復元案を複数のARで紹介する。

 遺構がほとんど残らない城下町ゾーン(JR安土駅周辺)では、琵琶湖の水運やセミナリヨ(キリスト教の神学校)をCG(コンピューターグラフィックス)やVR(仮想現実)を用いて現地に再現。城の南東部に設定する城下町周辺・街道ゾーンでは、遠景の安土城をARで眺められるようにする。当時の人々の視点から当時の景色やエピソードを追体験できるスポットを設け、地域を周遊してもらう仕組みをつくる。

 県は、信長が城や城下町を描かせた所在不明の「安土山図屏風」の情報収集も同時に進めており、今後予定する城跡の発掘調査など調査で得られた知見を「見える化」に盛り込んでいく。

 事業は本年度から基本設計を開始し、23~24年度に実施設計や制作に取り組み、25年度の一部公開を目指す。本格的なお披露目は26年度としている。