朝枝さんをしのんで植えられ、花を咲かせた桜「白雪」(京都市西京区大原野東野町)

朝枝さんをしのんで植えられ、花を咲かせた桜「白雪」(京都市西京区大原野東野町)

朝枝さんが向日市内の桜を撮影した写真を収録した冊子「むこうし桜物語」。表紙は向日神社境内で咲いた「白雪」

朝枝さんが向日市内の桜を撮影した写真を収録した冊子「むこうし桜物語」。表紙は向日神社境内で咲いた「白雪」

 昨春に75歳で亡くなる直前まで京都府の向日市内の桜を撮影していたカメラマン朝枝民二さん=同市寺戸町=をしのび、市民有志が向日神社の北参道周辺に整備した「桜の園」に桜の若木4本を植樹した。このほど白く愛らしい花を咲かせた。

 朝枝さんは日本写真印刷(現NISSHA)のカメラマンとして約40年間、美術工芸品や宝塚歌劇などを撮影してきた。退職後、「鎮守の森の会(現・桜の園まちづくり協議会)」に参加。向日市と京都市西京区にまたがる向日神社北側の丘陵を「桜の園」と名付けて桜を植樹する会の活動に取り組んだ。

 朝枝さんは2012年、カメラマンの腕を生かして桜の園や向日神社、西向日住宅地など市内の名所を毎日めぐり、満開や夜桜、紅葉などさまざまな桜の表情を捉えた。翌年3月、えりすぐりの31カットを収録した冊子「むこうし桜物語」を発行した。桜の園の存在が市民に知られ、植樹が進むきっかけになったという。

 昨年3月に朝枝さんが病気で亡くなった後、妻の文子さんの要望を受け、協議会が植樹を決めた。植えたのは「白雪」「御衣黄(ぎょいこう)」など朝枝さんが好んだ4品種。向日台団地北側の向日町競輪場駐車場東側にある坂道に沿って植えられ、現在は「白雪」が純白の花を咲かせている。今月20日ごろまで楽しめるという。

 文子さんは「写真撮影は夫の全てで、亡くなる1週間前も桜の園でつぼみの桜を撮影していた」と振り返る。「向日市の桜は夫の後半生を豊かなものにしてくれた。植樹された桜は、私たちを見守ってくれているようでうれしい」と話していた。