三成の実像を学問的にまとめた論文集「石田三成」の編著を務めた太田さん(長浜市役所)

三成の実像を学問的にまとめた論文集「石田三成」の編著を務めた太田さん(長浜市役所)

 最新の研究成果から戦国武将・石田三成と関ケ原合戦の新たな実像に迫る論文集「石田三成 関ケ原西軍人脈が形成した政治構造」(宮帯出版社)が今春、全国発売された。編著を担当した前長浜市学芸専門監で曳山(ひきやま)博物館(滋賀県長浜市元浜町)館長の太田浩司さんをはじめ、大学教授や博物館学芸員ら14人が三成の素顔や西軍大名との関係などをテーマに執筆した論文15本を収めている。

 太田さんによると、民放テレビの戦国武将ランキングで三成の人気度は高いが、過去のドラマや映画、小説などでは不確かな三成や関ケ原合戦が描かれている印象が拭えないという。今回の論文集について「歴史研究家の責務として真の三成の姿を学問的に考察した」と話している。

 論文集は、総論▽石田三成の素顔▽西軍大名と石田三成▽豊臣政権での三成の位置▽各地の関ケ原合戦-の5章で構成される。

 太田さんのまとめた序章では、関ケ原合戦で毛利氏や島津氏では当主が出陣しなかった背景に、家中で親豊臣派と反豊臣派との対立があったことを明らかにしている。立命館大准教授の谷徹也さんは、書状にのり付けを施したのは三成が最初とされるエピソードや、茶人らとの交流を示す文書などを通して文化人としての一面も紹介している。

 三成ゆかりの長浜・米原・彦根の3市でつくる「びわ湖・近江路観光圏活性化協議会」では近年、三成を主人公にしたNHK大河ドラマを誘致する動きがある。太田さんは「三成は戦国武将ランキング上位の中で大河ドラマの主人公になっていない唯一の人物。その姿を正確に捉えたかった。島津氏や宇喜多氏、毛利氏のお家の内部事情などと絡ませるとドラマの描写に幅が広がると思う」と話している。

 菊判、372ページ。4950円。