京都地裁前で横断幕を掲げる原告ら(21日、京都市中京区)

京都地裁前で横断幕を掲げる原告ら(21日、京都市中京区)

 昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の人類学者が沖縄県の古墳「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で琉球人遺骨を持ち帰ったとして、被葬者の子孫と称する沖縄県の住民らが、京都大に遺骨の返還を求めた訴訟の判決が21日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は、原告側の訴えを棄却した。原告側代理人によると、研究目的で持ち出された遺骨の返還訴訟で司法判断が下されたのは、全国で初めて。

 百按司墓は同県今帰仁(なきじん)村にあり、16世紀以前の沖縄北部の豪族か、その一族のものとみられる。原告は、15世紀に沖縄北部を治め、琉球王朝を開いた王家「第一尚氏」の子孫に当たるという住民ら。

 訴状などによると、京都帝大医学部解剖学教室助教授だった金関丈夫氏や、医学部講師だった三宅宗悦氏(44年戦死)が昭和初期、百按司墓から26体の遺骨を持ち出した。

 原告側は、墓を管理する親族らの許可を得ずに盗掘されたと主張。親族が百按司墓などを巡る慣習があることから、「墳墓の所有権は慣習に従って継承する」と定める民法に準じて「祭祀(さいし)承継権」が原告にあり、遺骨の所有権もあると述べていた。また、先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているが、本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと訴えていた。

 京大側は、沖縄県から許可を得た収集で違法な盗掘ではないと反論。遺骨と原告の関係性は明確でなく、墓を巡る慣習では祭祀承継者を特定できないとして、「原告には遺骨返還の請求権はない」と主張していた。