永守重信氏

永守重信氏

 日本電産は21日、関潤社長(60)が兼務する最高経営責任者(CEO)を、永守重信会長(77)が引き継ぐ人事を発表した。同日開催の取締役会で決定した。

 関氏は引き続き社長を務め、最高執行責任者(COO)に就任した。日本電産は、昨年6月に創業者の永守氏から関氏にCEOを引き継いだばかり。1年足らずで永守氏が経営トップに返り咲く格好となった。

 オンライン説明会で永守氏は「早い決断と対処が重要になっている。創業者で全てを知り尽くしている私が指揮をして業況を改善する」とCEOの復帰理由を述べた。その上で、再びCEOに就く期間について「あと3年くらいかかる。日本電産の経営手法やスピード、コストに対する感性を身に付けるのにはそれくらいかかるだろう」と語った。

 日産自動車のナンバー3だった関氏は永守氏の熱烈な誘いを受け、2020年1月に日本電産に入社、その年の4月には社長に就任。永守氏は翌21年6月にはCEOの地位も初めて譲り、「僕の上にいくのは彼しかいない」と後継者として大きな期待を寄せていた。

 関氏はグループ最大の成長分野と位置付ける電気自動車(EV)向け基幹モーターの事業の収益拡大を担ったが、新型コロナウイルス禍によるサプライチェーン(供給網)の混乱やロシアのウクライナ侵攻に伴う資源の高騰などが逆風となり、利益の改善に苦戦。株価下落も止まらず、永守氏は「CEOを1年で渡したのは早すぎたと反省している」と述べた。再びCEOを降板するのは「業績と株価をできるだけ早く満足できる水準にする。言い換えれば、投資家の皆さんが安心してもらえるようになることだ」とした。

 日本電産が21日発表した2022年3月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比7・2%増の1714億円だった。

 新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要や、デジタル化の進展を背景に、主力の家電・商業・産業用モーター、半導体検査装置などが伸び、収益のいずれも過去最高を更新した。