京都はもとより、日本政界に波紋を広げている。

 夏の参院選を巡り、野党第2党である日本維新の会と第3党の国民民主党は、京都選挙区(改選数2)と静岡選挙区(同)で双方の候補者を「相互推薦」することで合意した。

 有権者目線で維新と国民のこれまでの動きを見ると、政権与党との距離感が極めて分かりにくい。連携により勢力を一定拡大した上で与党に近づくのか。政権交代により政治を刷新するのか。参院選までにスタンスを明示すべきだ。

 安倍晋三・菅義偉政権時代、維新は松井一郎大阪市長や吉村洋文大阪府知事が頻繁に官邸を訪れ、密接な関係を見せつけていた。他野党が反対する法案に賛成したことも少なくない。だが、昨秋の衆院選で躍進した後は対決色を強めている。岸田文雄政権との人的なつながりの薄さから、維新の存在感を示すためとの見方もある。

 松井氏と共同代表を務める馬場伸幸衆院議員は先日、将来的な自民との連立政権を否定し「単独政権を目指す」と述べた。本気なら党公約で打ち出し、「1強政治」の補完勢力にはならないと標榜(ひょうぼう)して参院選に臨んでもらいたい。

 逆に、国民は与党に近づいている。本年度予算案への賛成が象徴的だ。ガソリン税の一部を減じる「トリガー条項」の凍結解除を政権が検討するとしたことを理由に挙げるが、結局、先送りになった。参院選向けに、かつてたもとを分かった立憲民主党との違いを強調したいだけにも映る。

 国民は維新との相互推薦に加え、支持団体の連合を軸に立民との選挙協力も進める。さらに国民現職が立つ山形選挙区では、自民に候補見送りを求めて協議中だ。

 党の生き残りへ、政党間を漂うような国民の姿勢には首をかしげる。政権への接近が顕著な連合会長と同様、何を目指し、そこに大義があるのかを明らかにしないと迷走と見えかねない。

 今回の維新と国民の動きは、京都政界にとって特に衝撃的だ。5選を目指す立民の福山哲郎前幹事長と、国民の前原誠司代表代行の断裂がほぼ決定的になったからである。2人は旧民主党の中枢として、自民と共産党が強い京都で民主の地盤を広げてきた。

 前原氏は国民の予算案賛成には難色を示し、「体調不良」を理由に採決には欠席した。維新とのパイプ役とされるが、一連の行動は政界再編への仕掛けなのか。有権者への説明責任が問われよう。