安倍晋三首相と、来日中のトランプ米大統領による日米首脳会談が開かれた。

 両首脳は共同会見して「日米同盟は盤石」と口をそろえたが、懸案の日米貿易交渉に関して議論の深入りを避けて「早期の決着」へと先送りし、北朝鮮問題でも緊密な連携を再確認するにとどまった。

 改元後初の国賓として迎えたトランプ氏を、安倍氏が数々の「おもてなし」で厚遇する一方、正式会談は3時間ほどで、成果を示す共同声明の発表も見送られた。

 夏の参院選や来年の大統領選への配慮がにじみ、首脳間の個人的親密さのアピールばかり目立った感は否めない。

 日米関係を深める貴重な機会であればこそ、双方の立場の隔たりを率直に語り、埋める努力を示していくべきではないか。

 日米貿易交渉に関し、トランプ氏は4月に訪米した安倍氏との会談で米国産の農産物の関税撤廃、引き下げを強く求め、来日までの大筋合意に期待を示していた。

 トランプ氏は、今回も対日貿易赤字の縮小に強い意欲を示す一方、共同会見は「交渉の加速」「早期の決着」という表現にとどめた。参院選での「農業票」への影響を避けたい安倍氏に「貸し」をつくり、選挙後なら大幅譲歩を引き出しやすいとの思惑が透ける。

 トランプ氏は会談冒頭で「8月に良い発表ができると思う」とし、会見では「米国は環太平洋連携協定(TPP)に縛られない」と述べて、より大きな「成果」に期待を込めた。

 トランプ氏の狙い通りなら日本の農業分野への影響は小さくない。その説明をしないまま参院選に臨むのは有権者の理解を得られまい。

 北朝鮮問題では、日本人拉致問題の解決に向け、安倍氏は金正恩朝鮮労働党委員長と前提条件をつけずに会談実現を目指す方針を伝え、トランプ氏から支持、支援の言質を得た。ただ、北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射への対応で日米間に温度差もある中、どのような連携が可能かは不透明だ。

 一方、安倍氏は米国と対立するイランを6月に訪ね、緊張緩和の仲介をしたい意向も表明した。同月下旬に開く20カ国・地域(G20)首脳会合の議長国として存在感を示す狙いもあろう。

 忘れてならないのは、緊迫化の主因が米国による一方的な核合意からの離脱と制裁強化にあることだ。米国側にも圧力一辺倒を見直すよう求めることが必要だろう。