住民投票を再度行うなら、構想の内容を煮詰めることが前提だ。

 大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票を速やかに行うことで大阪維新の会と公明党大阪府本部が合意した。

 来秋にも実施される見通しだ。

 公明は4月の知事・市長ダブル選などで維新が勝利したことを受け、従来の都構想反対の立場を一変させ、賛成に転じた。

 同じく反対してきた自民党大阪府連も、内部に異論を抱えながら住民投票への賛成を打ち出した。

 2015年の住民投票で否決された都構想は、2度目の住民投票に向けて急展開をみせている。

 ただ、構想を制度案にまとめる協定書は今後1年間かけて作成するという。中身が決まらないうちに賛成に回る公明は、従来の主張との整合性をどう説明するのか。

 衆参同日選への観測もある中、政党の都合で方針転換を急いだようにみえる。都構想を巡っては、実現を掲げる維新と、対抗する自民、公明などとの政治的駆け引きが前面に出ていた印象が強い。

 構想の中身への議論は深まっていない。大阪の自治の仕組みがどう変わるのか、十分説明しないままの住民投票は許されない。

 いまだ多くの疑問が存在する。

 維新は府と市の二重行政を解消して行政を効率化すると主張し、制度移行後の10年間で歳出削減効果は1兆円超との試算もある。

 ただ、特別区の庁舎整備などには多額の初期費用がかかる。

 現在、四つの特別区を設ける案が検討されているが、税源配分や財源調整などの仕組みをどう設計するのかなどは見えていない。

 政令指定都市の大阪市が持つ都市計画などの権限が特別区に細分化されれば、一体感のあるまちづくりに支障が出る恐れもある。

 都構想が、自治の機能を後退させることになってはなるまい。

 各特別区で首長と議員を公選すれば、大阪「都」に対する独自性が強まるとも予想される。二重行政どころか、逆に何重もの独自行政になることもありうる。

 こうした疑問に丁寧に答えていかなければ、住民投票は形だけになってしまう。過去に否決されているだけに、前回の住民投票で示された案とどう違うのか、具体的な説明が不可欠だ。

 他の政令市では、大都市機能を強くする「特別自治市」創設を求める声が多い。政令市解体に突き進む大阪府市のやり方は異色だ。

 何が住民の利益になるのか。深い議論が求められる。