水たまりにいるカニを取ろうとするチンパンジー(2014年2月、ギニア)=クープス研究員提供

水たまりにいるカニを取ろうとするチンパンジー(2014年2月、ギニア)=クープス研究員提供

 野生のチンパンジーがカニを食べることを初めて確認したと、京都大のグループなどが発表した。人類に近い類人猿が水中の動物を摂取することを発見したのは初めて。初期人類が水生動物を食べ始めた過程の推測に役立つという。国際科学誌「ジャーナル・オブ・ヒューマン・エボリューション」に29日、掲載された。

 開けた場所に生息するニホンザルなど霊長類20種がカニを食べることは知られているが、深い森の中に暮らすチンパンジーやボノボ、ゴリラ、オランウータンといった類人猿では知られていなかった。初期人類も約200万年前から水辺の動物を食べていたことは分かっているものの、開始時期は不明だ。

 京大高等研究院の松沢哲郎・特別教授やチューリッヒ大のカテリーナ・クープス研究員らは2012年2月~14年4月、西アフリカ・ギニアのニンバ山でチンパンジーが、甲羅幅が数センチのサワガニを食べているのを観察。森の中にある水たまりで4カ所に設置したビデオカメラで、181回の撮影に成功した。

 さらに解析を進めたところ、アリを食べる数が少ない時期に、カニを取る傾向が高かった。カニとアリの栄養素は近いことも、分析の結果分かった。カニを食べるのは雌や子どもが多かった。

 ニンバ山では、03年からグループがチンパンジーを観察していたが、カニ食が見つかったのは12年になってからで、新たに獲得された習慣の可能性があるという。松沢特別教授は「従来考えられていたように、人類は開けた場所の水辺で水生動物食を始めたとは限らない。深い森で暮らしていた頃から食べていたのかもしれない」と話す。