3年ぶりに新型コロナウイルス対策の移動制限がない大型連休となり、身近な自然に親しむ人も多いだろう。きょうは「みどりの日」。自然の「今」とも向き合う機会としたい。

 里山の昆虫が大幅に減少している。顕著な例が「ミヤマカラスアゲハ」だ。神秘的な羽の色から日本の最美麗種とも言われる。

 日本自然保護協会の調査報告書によると、2008~17年で1年間の減少率が31・4%に上った。発表は3年前であり、現状はさらに悪化している可能性がある。京都にも生息するが、見たことのある人はどれくらいいるだろう。

 京の象徴でもある鴨川を侵食しているのが、特定外来生物の水草「オオバナミズキンバイ」だ。17年に繁殖が確認され、疏水を通って琵琶湖から流入したとみられる。

 繁殖が拡大すれば他の植物の成長を妨げ、水質悪化の恐れもある。行政は駆除を進めているが再生を繰り返し、抜本的な解決策は見つかっていない。

 気候変動と生物多様性の喪失は密接に関連づけられる。放っておいたら、見慣れた風景がすっかり変わってしまったということになりかねない。

 そんな多種多様な生き物を育む場であり、温暖化を進める二酸化炭素(CO2)の重要な吸収源でもあるのが森林だ。

 環境省によると、コロナ流行の影響もあり、国内の温室効果ガス排出量は7年連続で減っている。一方で気がかりなのは、森林によるCO2吸収量が年々減少傾向にあることだ。

 樹齢を重ねてCO2を吸収しにくくなった樹木が増えているためとみられ、植林や間伐を進める必要がある。

 京都・滋賀でも森の再生を目指す動きが見られる。

 宝が池公園(京都市左京区)の森を、多様な植物が育つ豊かな森に戻そうと、研究者や行政などでつくる協議会が「森づくりビジョン」を発表した。

 松枯れやナラ枯れ、シカの食害が進んでおり、倒れる危険性の高い樹木を伐採。さらにシイタケの菌打ちなど樹木の資源化を体験するイベントを開いた。「山の整備には切った木の活用が欠かせない」との考えだ。

 各市町村では、細分化されている民有林を行政が集約できる「森林経営管理法」の施行などをきっかけに森林整備を進める。亀岡市森林組合は成長が早い「エリートツリー」を植林するなど、「攻め」の森林経営を模索しているという。

 森林再生は世界の課題だ。昨年10、11月に英国で開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、30年までに森林減少を食い止め、回復させるとの共同宣言が採択された。

 多くの国が参加した同様の宣言は以前から繰り返されてきた。実効性のある取り組みを進められるかが問われる。

 戦争は言うまでもなく最悪の環境破壊だ。ロシアによるウクライナ侵攻の影響が、新たに深刻な課題となりそうだ。

 身近な自然を見つめ直し、その先にある地球環境の危機にも思いをはせたい。