大丸山科店が入居していたラクト山科ショッピングセンター。現在はシャッターが下ろされている(京都市山科区・ラクト山科ショッピングセンター)

大丸山科店が入居していたラクト山科ショッピングセンター。現在はシャッターが下ろされている(京都市山科区・ラクト山科ショッピングセンター)

 京都市山科区の大丸山科店が3月末に営業を終了した。「区民の誇り」として親しまれた百貨店の撤退に、地元から惜しむ声が上がっている。

 大丸山科店は山科駅前再開発事業の拠点「ラクト山科」の中心店舗として誘致され、1998年のまちびらきに合わせてオープンした。当時市内の他の行政区と比べ商業施設の集積が遅れていた山科区にあって、格式高い百貨店の進出は地元にとって悲願だった。

 「希望の星が山科に来た。大丸が人を集めて、駅前がすごくよくなると思った」。山科駅前にある山科三条街道商店会の会長(58)は当時の状況を振り返る。2007年から区内に住む主婦(47)も「田舎と言われることが多かったけど『大丸があるんやで』と友達に自慢できました」。京都盆地から東山を隔てて位置し、「山科は京都じゃない」などとも言われて悔しい思いをしたこともある区民にとって、単なる商業施設を超えた存在だった。

 同店は、駅前のランドマークとして地元からの期待を背負って営業を続けてきたが、流通の多様化に伴う百貨店離れにはあらがえず、客足は次第に遠のいた。それでも買い物客にひとときの非日常感を楽しませ、愛着を持たれていた。「買い物をしない日でもほぼ毎日来て、店を見て回るだけでも気晴らしになった」と近くに住む女性(88)。伏見区の男性(71)も「会社員時代に部下の出産祝いを買って贈ったことがあり、ものすごく喜ばれた」と懐かしむ。

 大丸の跡地には京阪グループが新たな専門店街を11月にオープンさせる予定だ。建物を管理運営する第三セクター京都シティ開発(山科区)の久野新治経営推進室長は「大丸の出店で山科のイメージが一変し、大きな役割を果たしてもらったと思う。地域の期待に応え、親しみのある商業施設を目指したい」と話す。