火舎・釜の複製の完成を目指す田村さん。このほど実寸大(右)と2分の1の大きさを試作した=京都府大山崎町円明寺

火舎・釜の複製の完成を目指す田村さん。このほど実寸大(右)と2分の1の大きさを試作した=京都府大山崎町円明寺

 京都府大山崎町大山崎の陶芸愛好家の田村博文さん(74)が、茶道具で湯を沸かす風炉の始まりとされる「火舎・釜」の複製作りに取り組んでいる。同町で見つかった8世紀末の出土品をモデルに、粘土やうわぐすりの調合などに試行錯誤を繰り返し、今夏の完成を目指している。

 田村さんは、町老人福祉センター長寿苑の陶芸サークルに所属。出土した遺物にも興味を持っていた。昨春に町職員から火舎・釜のことを聞き、遺物品の複製を初めて作ることにした。

 火舎・釜は、1989年の山崎廃寺での調査で現在の大山崎ふるさとセンターの敷地から発見された。町教育委員会によると、火舎は、高さ26センチ、口縁部23センチ、底部25センチ。胴体部にすかし穴と直径15センチのたき口があり、口縁部に釜が収まる構造になっている。緑色のうわぐすりが使われ、当時の高貴な身分の人が煮炊きに用いていたとみられている。

 田村さんは昨年末から作陶を始めた。町歴史資料館で火舎・釜の実物や、図面を何度も見た。「すかし穴が同じ寸法でなかったり、たき口の形が均等でなかったりして想像以上に自由に作られている」という。材料の粘土には強い耐火性を持たせるよう配合し、今年3月末に実物大と2分の1の大きさの試作を計5セット成形した。現在は当時の製造工程に合わせて低温で焼くためのうわぐすりの調合を進めている。

 田村さんは「当時の人に思いをはせながら作っている。大山崎は国宝の茶室『待庵』が有名だが、それ以前にも茶に関わりのある遺物があると知ってもらえれば」と話す。