事故3年を前に、事故現場で黙とうする県警幹部ら(大津市大萱6丁目)

事故3年を前に、事故現場で黙とうする県警幹部ら(大津市大萱6丁目)

事故現場でドライバーに安全運転を呼び掛ける警察官ら(6日午前、大津市)

事故現場でドライバーに安全運転を呼び掛ける警察官ら(6日午前、大津市)

 大津市で2019年に散歩中の保育園児ら16人が死傷した交通事故から、8日で3年を迎える。市は安全な交通環境づくりの指針となる条例を今春に施行し、園児向けの交通安全対策も進める。一方で関係者からは事故の風化を懸念する声が上がる。教訓を再発防止にどう生かすかが問われている。

 「横断歩道の前で待つ間はなるべく後ろに下がって。青信号になっても、車が来ないかよく見ようね」。6日、社会福祉法人「風の子保育園」(同市穴太2丁目)であった交通安全教室。市の交通指導員から教えられた4、5歳児61人が園庭に仮設された横断歩道を渡った。長尾大輔園長は「事故後は国道を避けた散歩コースに変更し、見守る保育士も増員配置している。命を守る対策に注力する」と話した。

 市は未就学児向けの交通安全教室を長年続けており、昨年度は市内の保育園と幼稚園計161園のうち86園で実施。屋外を歩く際の実地指導を重視し、子どもたちに基礎的な交通ルールを徹底するのが狙いという。

 新型コロナウイルス禍で協議が進まず制定が遅れていた市の「交通安全条例」は、4月1日に施行された。罰則規定はないものの、最新技術を活用した安全対策や事故被害者の支援を明文化。市自治協働課は「条例の理念を浸透させて実行性を高めていく」とし、交通安全施策のための基金も創設した。

 保育園などが近くにあることをドライバーに知らせる「キッズゾーン」の路面表示や防護柵などの安全対策工事も昨年で完了した。ソフト・ハード両面から子どもの命を守る取り組みが続くが、事故から3年の月日が流れ、惨事が人々の記憶から薄れる不安感を持つ人もいる。

 事故で重傷を負った女児(6)の父親は「事故現場を通っても何も思わない人が増え、誰も覚えていない状況となってしまうのが苦しい」と明かす。女児は今でも事故当時の話を口にするという。「道路の環境整備は完了したようだが、市内に危険箇所はまだあるように感じる。誰もが加害者になり得ることを忘れないでほしい」

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 滋賀県警大津署は6日、事故の発生現場の大津市大萱6丁目など市内5カ所でドライバーや通行者に対し啓発活動を行った。県警の鶴代隆造本部長らが現場で黙とうして献花した。時田保徳署長は「官民一体となって交通事故を減らす取り組みを行う」と述べた。