「就職氷河期世代」の就労や正社員化を進める集中支援策を厚生労働省が打ち出した。

 バブル崩壊後、就職難だった1990年代半ばごろから約10年間に高校や大学を卒業した世代で、30代半ばから40代半ばに当たる。

 当時は大手銀行が経営破綻するなど、日本経済は極めて厳しい状況だった。非正規雇用で働かざるを得ない人が増え、つまずきから引きこもりになった人もいる。

 時代に大きく翻弄(ほんろう)された世代といえよう。フリーターの支援策などはこれまでもあったが、十分な効果は出ていないようだ。

 政府が本腰を入れるのは初めてという。「遅すぎた」との声が当事者から上がるのはもっともだ。これ以上放置はできない。

 支援策は、都道府県が経済団体や人手不足の業界団体と連携し、この世代の採用や処遇改善、社会参加を後押しする新たな枠組みをつくる。実施計画や目標に照らして支援の進み具合を点検する。

 さらに非正規労働者が正社員になれるよう、就職支援のノウハウを持つ民間業者に教育訓練を委託。ハローワークに専門窓口を設置する―といった内容だ。

 すでに実施している取り組みもあり、これまでの施策をかき集めたようでもある。未経験の就労は年齢が上がるほど難しく、「40歳前後では能力を伸ばすのに限界がある」との声もある。

 対策を打ち出して終わりではなく、実効性を検証し、息の長い支援にしなくてはならない。

 政府が雇用安定に乗り出す背景には、世代が高齢になって生活困窮に陥り、社会保障費が膨張するのを防ぐ狙いがある。

 多くの企業が人手不足から新卒採用に苦戦する「売り手市場」を正社員化の好機と捉えた側面がある。だが、当事者の事情を踏まえずに無理やり働かせるような印象を与えては、再び世代を翻弄することになりかねない。

 待遇面の改善など見直すべきことは多岐にわたるが、経済財政諮問会議の資料には「この世代は人生再設計第1世代」などとある。文言の軽さが気がかりだ。

 「ロストジェネレーション」(失われた世代)との呼び方もあるが、決して失われたのではない。それぞれの困難を抱えながら現実に存在し続ける人たちだということを忘れてはいけない。

 非正規雇用や引きこもりは氷河期世代だけのことではない。幅広く再チャレンジができる社会の構築こそが望まれる。