国の借金の「長期債務残高」が2021年度末時点で初めて1千兆円を超えた。

 18年連続で過去最大を更新し、この20年間で倍増した。

 高齢化に伴う社会保障費の増加に加え、新型コロナウイルス対策の巨額支出が積み上がった形だ。

 国債による借金頼みの経済財政運営がより強まっている。将来に膨大な借金負担を先送りしている現実から目をそらさず、健全化に向き合うべきだ。

 国の長期債務残高は前年度から約44兆円増の1017兆1千億円。地方の分を合わせると1210兆円に達し、赤ちゃんを含めた国民1人当たりの借金は約966万円にも上る大きさだ。

 借金が増え続けているのは、国の税収を上回って歳出が拡大しているためだ。

 一般会計の歳出は10年連続で膨らみ、本年度当初は約107兆円となった。年60兆円前後の税収と大きな開きがある。

 コロナ対策として大型補正予算も常態化し、当初を含む歳出総額は20年度は175兆円、21年度は142兆円に膨らんでいる。

 感染対策や生活支援への十分な予算手当は必要だが、内容が吟味されたとは思えない「ばらまき」や便乗した支出増も目に付き、財政規律のたがが外れた感がある。

 歳入の不足分を補っているのが国債増発だ。安倍晋三政権が進めた「アベノミクス」以降、日銀は大規模金融緩和で金融機関から大量の国債を買い入れている。日銀の国債保有額は500兆円超と、発行残高の約半分を占める。

 折しも安倍氏が「日銀は政府の子会社だ。心配する必要はない」と発言し、物議を醸している。

 借金を重ねることを意に介しない政府・与党の姿勢を代弁したかのようだ。

 中央銀行の独立性を軽んじ、政府の借金の肩代わりをさせていると見なされれば、日本の財政への国際社会の信認は大きく崩れる。

 政府は25年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全目標を掲げる。だが、財務省の直近の試算では5兆5千億円の赤字が見込まれ、実現は極めて困難な見通しだ。

 岸田文雄首相は目標に変更はないとするが、「経済あっての財政」と繰り返し、達成への意気込みは見えてこない。小手先の対策では済まないはずで、具体的な道筋を示すべきだ。

 各政党も、迫る参院選で財政再建策を問うてもらいたい。