管理栄養士ら専門家から気軽に離乳食に関する相談が受けられるシステム。5月中の配信を目指す(滋賀県草津市、立命館大びわこ・くさつキャンパス)

管理栄養士ら専門家から気軽に離乳食に関する相談が受けられるシステム。5月中の配信を目指す(滋賀県草津市、立命館大びわこ・くさつキャンパス)

手間がかかる下ごしらえを終えてだしに浸したベビーフード用の野菜。最後のひと手間で、それぞれの子どもに合った食感やサイズにできる

手間がかかる下ごしらえを終えてだしに浸したベビーフード用の野菜。最後のひと手間で、それぞれの子どもに合った食感やサイズにできる

 滋賀県草津市の立命館大の学生2人が、食育関連会社「フードフル」を起業した。最初に手がけるのが、乳幼児の親を対象に離乳食作りの助言や悩みを管理栄養士ら専門家にオンラインで相談できるサービス。無料の相談し放題が特徴で月内の配信を目指す。学生は「一口に離乳食といっても子の成長や特性も十人十色で相談事は尽きないはず。困っている親に寄り添いたい」としている。

 同大学食マネジメント学部3年の柳陽菜さん(20)=大阪市=が最高経営責任者(CEO)、同学部3年の作野充さん(20)=京都市=が最高執行責任者(COO)を務める。2人は「食に関する取り組みがしたい」と意気投合し、起業アイデアを競う学内コンテストに昨年出場し、アイデアに磨きをかけてきた。今年3月までに会社設立の登記を終え、大学内のコワーキングスペースに事務所を構えた。

 離乳食相談サービス「childish(チルディッシュ)」配信は独自のアプリではなく、LINEを活用する。希望者はアカウントを追加し、相談を受けたい管理栄養士ら専門家を紹介欄の情報を頼りに選択。「にんじんを急に食べなくなった」「便の調子が悪い」といった困り事などをチャット形式でやり取りできる。

 配信後、数カ月は登録者数の獲得に注力し、サービス利用者千~2千人を目指す。利用料を無料にする分、企業広告やサイト内に企業の商品を掲載するページを作り、その収益で運営するという。

 このほか事業化の構想を進めるのが、煮炊きなど下処理工程を終えたベビーフードの提供。下ごしらえに時間がかかる親の負担を減らすために考案した。衛生面などの課題もあり、同社単独での実現は見送るが、柳さんは「最後のひと手間をかけるだけで子どもに合わせたベビーフードが作れるのが魅力。ベビーフード販売で実績ある企業と連携できれば」と意欲を語る。コラボを希望する企業を募っているという。

 起業のきっかけは柳さん自身の体験だ。「好きな物をおいしく食べる」。そんな家庭方針の中で野菜を口にせず育ち、おのずと野菜嫌いになった。今も野菜嫌いは克服できず、肌荒れや健康診断のコレステロール値が高いなど健康不安に悩まされているという。

 大学の授業で有機野菜の農家らと知り合い、収穫体験などを通じて「苦手な意識はあるが、少しは野菜が食べられるようになった」という。

 食は身体の基礎を作り、健康に暮らす上で欠かせないが、妊婦の食事や離乳食、幼児食をどうするかをはじめ、子どもの偏食や1人暮らしの孤食など世代ごとに食の課題は横たわる。

 柳さんと作野さんは当初、子どもの偏食を解決するビジネスを模索していたが、「小学生の子どもがいる母親と話しても偏食は『そのうち食べられるようになる』と重要な問題にとらえられないと感じた。だから食への関心が高い乳幼児のサービスを通じ、食への意識を高めるきっかけにしたい」と話す。

 起業した2人が将来的に目指しているのは、食育の総合企業。さまざまな食の課題にアンサーとなるサービスを提供したいと夢を描く。