洛星中学・高校の校長に新たに就任した小田恵さん(5月6日、京都市北区)

洛星中学・高校の校長に新たに就任した小田恵さん(5月6日、京都市北区)

洛星中学・高校(京都市北区)

洛星中学・高校(京都市北区)

 進学実績で知られる男子校の洛星中学・高校(京都市北区)に4月から、初の女性校長として小田恵さんが就任した。男子校のトップに女性が就くのは全国的にも珍しい。小田校長に意気込みや近年共学化が進む中での男子校の意義などを、主にジェンダーの観点から語ってもらった。

 -校長になった経緯は。

 「理事会で選出された。カトリック信徒であり、本校で国語教員を約30年、教務部長を6年務めた経験があることから選ばれたのだと思う。校長が替わるのは18年ぶりで、私で7代目に当たる」

 -男子校の校長に女性が就くのは珍しい。

 「理事会のメンバーから校長になることを打診された時、『女性だけれどいいですか』と尋ねた。洛星という組織を引っ張るのは男性でなければという考えの人もいるのではないか、という心配があったからだ。また『この時代だから話題づくりのために女性の私が選ばれたのなら嫌だ』とも伝えた」

 -周囲の反応は。

 「卒業生の保護者など、一定以上の年齢の方からは応援の意味で『女性なのにすごいですね』という反応があったが、在校生など若者はごく自然に受け止めているようだ。心配は杞憂(きゆう)だったと思う」

 -初の女性校長としての気負いは。

 「実はこの3月まで高校3年生の担任をしており、生徒の進路の対応などに追われ、プレッシャーや気負いを感じる余裕もなかったというのが本音。もともと楽天的な性格もあって『なんとかなるだろう』という気持ちだった」

 -近年、男女別学校の共学化が進み、京都府内でも男子校は2校のみだ。

 「多様性が強調されているが、男子校も学校の多様なあり方の一つではないか。生徒が『ここなら好きなことに打ち込める、自分の居場所がある』と感じる環境が男子校であれば、それは生徒にとって必要な選択肢だと考えている。ただ学校では異性の目がないので、女性の事についても意識して教えていかなければならない」

 「学校の活動の中で、あらゆる仕事や役割を経験するのも男子校の良い所。日本ではジェンダー教育が進んでおらず、共学だとサポート役は女子が担うなど男女の役割分担が自然と生じてしまうことがあるが、男子校では全ての仕事を男子がやらなければならない」

 -洛星でのジェンダー平等の取り組みや性教育は。

 「性的マイノリティーや男性学、女性学に関する講座などを、少しずつ取り入れているところ。他人に寄り添い役立つ人間を育てることが洛星の理念でもあるが、そのためには社会の情勢や仕組みについても学ばなければならず、ジェンダーや性の教育はその一つだと考えている。教職員で言えば女性が増えていて、1年間の育休をとっている男性もいる。ハラスメント防止の取り組みにも力を入れていくつもりだ」

 -自身に期待されていると感じる事は。

 「生徒、教職員らの声に耳を傾け、学校のあり方を見つめ直すこと。私学では教職員の仕事や人間関係が固定化しやすいなどさまざまな課題があるが、周囲と十分にコミュニケーションを取りながら、洛星の何を守り何を変えるかをいま一度、捉え直す役割を果たしたい」

 洛星中学・高校 1952年に聖ヴィアトール修道会によって設立されたミッションスクール。国立大や医学部への進学実績で知られる中高一貫校。西脇隆俊京都府知事や、京都の新型コロナ対策で西脇知事と共に指揮を執った松井道宣府医師会長の母校。