1人親家庭で育ったその女性(21)は子どものころから家庭の経済状況を気遣い、「まわりに迷惑をかけない」ことばかりを意識して過ごしてきた。

 親は長く体調不良で、女性がケアを担ってきた。友だちをつくりにくいため学校で孤立し、いじめにもあい、度々登校できなくなった。成長してからも暮らしのためにアルバイトを掛け持ちする生活が続く-。

 子どもなのに、いっときも子どもでいられないまま過ごしてきた若い世代がいる。生活困窮や家族の介護、家庭内暴力など、さまざまな事情が近年の調査で浮かび上がっている。

 大人の代わりに家族の世話や家事などをしている「ヤングケアラー」もその一つだ。

 厚生労働省が4月、ヤングケアラーについて小学生を対象にした初の調査結果を公表した。

 6年生の15人に1人が「世話をしている家族がいる」とした。世話をする相手は「きょうだい」が71%と最も多く、「母親」「父親」と続いた。

 滋賀県社会福祉協議会が昨年秋に実施した調査では、県内の全小中高校の4割にヤングケアラーに該当する児童生徒がいることが分かっている。

 こうした環境で育つ中、社会的なつながりを持てず、孤立感や生きづらさを深めてしまう若者は少なくない。

 問題は、こうした若者を支援する公的な組織や場所がほとんどないことだろう。

 児童養護施設は22歳まで支援できるのに、ほとんどが高校卒業とともに退所している。近く年齢制限が撤廃されるが、実際には対応する職員や施設面で限界があると指摘される。

 大津市の特定非営利活動法人「こどもソーシャルワークセンター」は高校を卒業した年代の若者も自由に集える数少ない施設だ。

 同センターが昨年から始めている取り組みに注目が集まっている。

 貧困やいじめ、虐待などさまざまな生きづらさを経験してきた若者たちに、同様の環境にいる同世代の相談に乗ってもらう事業だ。

 夜間、SNS(交流サイト)やネット掲示板に書き込まれる若者の悩みやつぶやきにアクセスし、対話する。

 大人の目線やマニュアル対応ではなく、若者同士の対等な会話を通じて孤立した人を社会的な支援につなげる狙いだ。

 家出中に知り合った男性との性的なトラブルを抱え、自殺をほのめかした若い女性を専門的な支援団体に紹介するなど実績も積み重ねている。

 相談を受ける側になった若者たちも、自らの経験を生かせることで社会的な孤立感や無力感から脱する一歩になっているという。

 生きづらさを抱える若者にとっては、そのままの自分が受け入れられ、認められる居場所こそ必要ということではないか。

 新型コロナウイルス禍で高齢世代の孤立化は指摘されているが、若い世代にも影響は大きい。社会全体で認識を共有し、居場所づくりを模索したい。