建設統計で書き換えや二重計上が行われていた問題で、国土交通省の有識者会議は、影響を検証した報告書を斉藤鉄夫国交相に提出した。

 最大で年5兆1千億円(全体の6・6%)を過大計上していたと試算し、国内総生産(GDP)に用いるデータでは2兆8千億円(5・3%)過大だったとした。

 影響額は大きく、統計に対する信頼は大きく損なわれたと言えよう。

 統計は政策立案だけでなく、民間企業の活動や大学の研究にも広く使われる。正しい数値に修正するとともに、誰が何のために行ったか解明し、長年にわたって不正を見過ごしてきた体質にメスを入れてほしい。

 二重計上などは、統計法に基づく基幹統計の一つ「建設工事受注動態統計調査」で2013年4月から昨年3月まで行われた。

 有識者会議が書き換えのない20年度の調査票を基に推計したところ、二重計上の影響額は5兆8千億円に上ったが、そこから別の不適切処理による過少計上分を差し引いた。

 GDPは、書き換えがあった統計の一部データを補正して算出されるため、有識者会議はGDPに与える不正の影響は小さいとの見方だが、明確ではない。そもそも、GDPの元になる数値が不正確なままでは、将来に禍根を残すことになる。

 国交省は、9年間分の数値を今秋ごろに修正するとしており、政府はそれに基づき正しいGDPを再計算するとしている。速やかに訂正してもらいたい。

 国交省は、統計部門の人員拡充など再発防止に動きだしている。

 ただ、国家公務員は人件費の膨張を防ぐため、定員を増やしにくい。同省は他の部署から併任などで統計部門に約10人を常駐させているが、人事異動などで統計部門を希望する人は少ないという。

 データに基づく政策立案の重要性は高まっている。職員一人一人がそのことを十分理解するよう研修や組織の見直しが求められる。

 国交省は53ある政府基幹統計のうち九つを担当し、40を超える一般統計も所管している。調査の数や頻度などを見直し、本当に有効で欠かせないものに絞り込むことも必要ではないか。

 併せて、紙ではなくオンラインによる調査に変更することも重要だろう。デジタル化などで作業を効率化し、業務量の適正化を図ることも検討すべきだ。