さまざまな趣向を凝らした「コエ・ドーナツ」の商品

さまざまな趣向を凝らした「コエ・ドーナツ」の商品

京都に再出店を果たしたクリスピー・クリーム・ドーナツ(下京区・地下鉄四条駅)

京都に再出店を果たしたクリスピー・クリーム・ドーナツ(下京区・地下鉄四条駅)

 ドーナツ専門店が京都市内に相次ぎオープンしている。材料にこだわった工場併設型や世界的チェーンなど店舗内装やメニューも多彩で、味や素材にこだわった個性的なドーナツ店の競争が激しくなっている。なぜ今、ドーナツが注目されるのか。店舗を訪ねて理由を探った。

 大勢の観光客が行き交う中京区の新京極通。この一角に、1号店となるドーナツ専門店「コエ・ドーナツ京都」が3月に開業した。運営企業は「アース ミュージック&エコロジー」などアパレルブランドを展開するストライプインターナショナル(岡山市)だ。

 ドーナツは有機小麦やグラニュー糖、南丹市美山町産の牛乳、卵を使い、玄米油で揚げる。ターゲットは健康や環境に対する意識の高い顧客層だ。京にんじんや抹茶、黒豆など和の食材も取り入れたメニューを含む全47種類を開発。1個230円から販売する。

 店舗内装は、建築家の隈研吾氏が監修し、嵐山の竹かご500個以上を天井に配置した。目の前で調理工程が見られるカフェスペース65席も設けた。同社は近年、アパレルからホテルの運営にも業態を広げている。石川康晴社長は「小売りだけでは成長が厳しい。こだわりの食材で差異化を図り、訪日客が多い京都で勝負したい」と強調。海外展開も視野に入れている。

 愛知県で人気のドーナツカフェも、県外初出店として6月6日、京都市北区へ参入する。COARSE STARS(同県岡崎市)が運営する「ZARAME BASE」。米国風の雰囲気の店内では、マンゴーやラズベリー味の手作りドーナツ約10種類とコーヒーなどを販売する。立命館大近くという閑静な立地で、高田大作代表取締役は「地元の人や学生にゆっくり味わってほしい」と話す。

 老若男女に長年親しまれてきたドーナツだが、国内市場自体は縮小傾向にある。富士経済(東京)の調査によると、17年は前年比4・1%減の444億円。コンビニのドーナツ販売参入や製パン企業の生産拡大が加速した15年をピークに減少している。

 一方、近年参入する店舗では、従来のドーナツの見た目や味から「イメージチェンジ」を図った商品を展開する。珍しい味やかわいいトッピング、地元食材の活用が会員制交流サイト(SNS)などで若い女性らから人気を集める。高田代表取締役も「ドーナツのファッション性やトレンド感に注目した」と明かす。

 京都市営地下鉄四条駅構内に駅ナカ店として2月に再出店を果たした米国の大手ドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン」(東京)は、本場米国仕込みの濃厚な味わいや鮮やかな見た目が特徴だ。

 ピーク時には全国64店舗を展開したが、ブームの一服感から業績が低迷。16年には京都を含む20店舗が閉店した。幅広い顧客の取り込みを狙い、健康志向を意識したしょうがやこうじ、乳酸菌入りヨーグルトなどを使ったドーナツ3品を6月から販売する。広報担当者は「お菓子に罪悪感を持たず、前向きに楽しんでもらえるような素材を選んだ」と期待する。

 地元の店舗も負けていない。10年にオープンした「ニコット&マム」(中京区)では卵を使わず、自然酵母で作った12種類を提供。海外赴任の経験からドーナツに親しみを持った山内健司社長が脱サラし、立ち上げた。一昨年には京都タワーサンド(下京区)にも出店し、「アレルギーのある子の保護者に喜ばれる」と強みを語る。

 一過性のブームにとどまらず、ドーナツが菓子の定番として復権する日はくるのか。各社の個性を生かした商品の展開が問われる。