南丹市

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南丹市役所

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南丹市の「文化観光大使」に任命された馬渕睦夫さん(2012年撮影)

南丹市の「文化観光大使」に任命された馬渕睦夫さん(2012年撮影)

 ロシアによるウクライナ侵攻に関連して「陰謀論」との指摘もある言説を展開している元外交官を、京都府南丹市は18日までに「文化観光大使」に任命した。市は「問題ない」とするが、識者は「市民を陰謀論に誘導する恐れもある」と指摘する。

 文化観光大使は、市ゆかりの人を通してまちの魅力をPRする目的で、4月からスタート。著名人や芸能人ら9人を選び、2年間委嘱し、大使の名刺を持って活動してもらう。

 元外交官は同市八木町出身の馬渕睦夫さん。1968年に外務省に入り、ウクライナやキューバ大使などを歴任し、2019年には市の名誉市民にも選ばれている。「ディープステート 世界を操るのは誰か」など、多数の著作を持ち、インターネット上で自説を語る動画の一部は計10万回を超える視聴数を誇る。

 以前から世界を陰で操る勢力・ディープステート(DS)が存在するとの持論を持ち、ウクライナ侵攻にも関わっていると主張する。侵攻直前に収録された2月下旬の動画では「反プーチン勢力にウクライナは乗っ取られた」とし、プーチン大統領が侵攻せざるを得ないように仕向けていると説明している。

 陰謀論に詳しい評論家古谷経衡さんは「根拠は何一つなく、DSは存在しない。(陰謀論が流布すると)間違った考えを一部に植え付け、一部が過激化する。委嘱は取りやめるべきだ」と、観光大使任命の影響を危惧する。

 市は市役所に募金箱を置くなどウクライナ支援の意志を示している。山内守副市長は「馬渕さんは市民が世界で活躍する道しるべとなった人。観光大使に適任で、委嘱を取りやめる考えはない」とする。

 京都新聞社は市を通じて馬渕さんに取材を申し込んだが、「取材には対応していない」と回答した。

■「市が共感」印象与える

 同志社大の真山達志教授(行政学)の話 市が委嘱した人物の主張に共感しているような印象を与えかねず、適任ではない。そもそも制度そのものが、観光振興のあるべき姿とずれているのではないか。地元に住む有名人が観光大使として発信するならある程度は意味もあるだろうが、単に出身者というだけで、地元代表のように扱っても、PR効果は限定的でしかない。