かつてはサルに見えたというケヤキのこぶ(京都府亀岡市河原林町河原尻・日吉神社)

かつてはサルに見えたというケヤキのこぶ(京都府亀岡市河原林町河原尻・日吉神社)

 「万緑の中や吾子の歯生え初むる」。京都府亀岡市河原林町河原尻の日吉神社を訪れると、樹木と子どもの生命力を対比した俳人中村草田男の名句が頭に浮かんだ。

 美しい緑に囲まれた神社境内に高さ20メートル以上のケヤキがある。根元には10カ所以上のこぶが突き出ていた。宮司の八木信学さん(74)が「こぶはかつてサルの姿に似ていたんです。良縁、子どもの健康を望む人々が訪れ、こぶを触っています」と、教えてくれた。

 ケヤキは昭和初期に発行された府案内誌で「天に冲(ちゅう)する霊木あり」と紹介された名木。こぶは神猿の現れとして、「真の縁」につながると、良縁和合、子宝運に恵まれるとの信仰が広がった、という。

 残念ながら今は、こぶからサルの姿を感じ取ることはできない。でも、よく見るとこぶのくぼみに10円玉が置かれているのに気付いた。子の健やかな成長を祈り、さい銭を納めたのだろうか。緑を蓄えた巨木は、さわやかな風に揺れていた。