少子高齢化で現役世代が減少する中、社会の支え手をいかに確保するかの重要な議論といえる。

 厚生年金などの加入者を広げる「勤労者皆保険」の実現は、一つの方向性だろう。政府の全世代型社会保障構築本部が中間整理で提示した。

 従業員数など企業規模によって線を引いている加入制限の撤廃を検討するとした。パートなど働く時間や雇用形態にもかかわらず加入可能とし、給付を手厚くするという。

 対象拡大は労使で折半する保険料の負担増となるほか、医療・介護など社会保障全体に影響する。公的支援を含む負担の在り方を巡り、丁寧な議論が求められる。

 勤労者皆保険は、会社員らが加入する被用者保険(厚生年金・健康保険)に、働く人なら誰でも加入できるようにする考え方だ。

 同本部長の岸田文雄首相は「持続可能な社会保障制度を将来に伝えていく」と議論加速を掲げた。

 政府は既に、支え手増に向けて70歳まで働ける機会確保を企業の努力義務とし、厚生年金の対象拡大を進めている。パートらが加入できる企業要件を「従業員501人以上」から、2年後までに段階的に「51人以上」に引き下げ、新たに65万人増える見通しだ。

 中間整理は、さらに小規模な事業所まで拡大を視野に入れた。個人経営事務所のスタッフに加え、フリーランスらの加入も検討するよう提唱した。多様な働き方に対応するセーフティーネットの役割も期待できよう。

 見据えるのは現役世代が急減する「2040年問題」だ。65歳以上の人口がほぼピークの約3900万人に上り、社会保障費がかさむ一方、保険料を負担する現役世代は15年の約7700万人から約6千万人に縮小。社会保険財政が揺らぎかねない危機感がにじむ。

 厚生年金は比較的給付が手厚く、国民年金(基礎年金)だけの人にとって受取額の上乗せが見込める。ただ、保険料の半分を持つ事業主は、規模要件の撤廃で計3160億円の負担増になる計算だ。経営の厳しい中小業者に目配りし、理解を求めていく必要がある。

 政府は社会保障の支え手確保に関連し、就職氷河期世代の正規雇用を30万人増やす支援を一昨年から始めたが、新型コロナウイルス禍などで3万人増にとどまる。

 皆保険は具体的な制度設計や財源論を欠いての実現はおぼつかない。国民の負担と給付の全体像を示して議論を深め、幅広く合意を積み上げていくべきだろう。