静岡県熱海市で昨年7月に起きた大規模土石流を巡る県の第三者委員会が、県と市の対応を「失敗」と結論付けた。

 不備のある届け出受理など初動が不適切で「断固たる措置を取らなかった」とし、県と市の連携不足も指摘した。

 災害関連死1人を含む計27人が死亡、1人の行方がなお不明だ。行政の不作為を明らかにし、「人災」の責任の一端があることを認めた形で、県と市は重く受け止めるべきだ。

 被害を踏まえ、危険な盛り土を全国一律の基準で規制する盛り土規制法がきのう成立した。再発防止につなげなくてはならない。

 第三者委の報告書が「失敗」と断じたのは、2007年当時に旧所有者から未記載部分などがある盛り土の届け出を受理した点や、「最悪の事態」を県と市が想定せず、足並みがそろわないまま不適切な開発行為を許した点だ。

 その背景に県土採取等規制条例が浮上した。開発行為の届け先が面積1ヘクタールを境に市と県に分かれ、所有者は当初、1ヘクタール未満として市に届け出た。市の指導で測量し直すと1ヘクタールを超えたが、県は「図面に信ぴょう性がない」と市に対応を押し返した。

 早い段階で「問題業者」との認識を県市で共有すべきだったのに、責任をなすり付け合う体質が野放図な造成を招いた。大災害の危険性を認識し、その除去を第一とする姿勢に双方とも欠けていたと言わざるを得ない。

 第三者委内では「組織文化」こそが問題だとの意見もあったという。実効性のある再発防止策を講じるには、こうした行政の態度も改める必要がある。

 盛り土規制法は、知事や市長が指定した規制区域内での造成を許可制とし、最高3億円の罰金を科すなど罰則も強化した。

 これまでは造成場所によって適用法令が違い、規制内容も異なっていた。危険な造成は対策が緩い所で行われるケースが多かった。

 だが、新たな制度ができても、行政が当事者意識を持って真摯(しんし)に取り組まなければ、住民の安全は守れない。問われるのは行政の自覚であり、十分な執行体制をつくることが大事だ。

 自治体が円滑に業務を遂行できるような国のサポートも欠かせない。

 建設残土を使った盛り土の崩落は京都や滋賀でも起きている。梅雨の季節が近づく中、毎年のように繰り返される豪雨被害への対策を強化する契機としたい。