政府は、新型コロナウイルス対策のマスク着用の呼び掛けを一部緩和する見解を公表した。

 屋外で人と2メートル以上の距離を確保できない場合でも、会話をほとんど行わないなら着用の必要はないとした。

 コロナ対策の行動制限措置が全国で解除されて約2カ月になる。長期化する対策にメリハリを付け、以前の日常に戻していきたいとの人々の願いに沿う考え方だろう。

 ただ、感染が下火といえない中でマスクを手放せない場面は多く、緩みへの不安も小さくない。

 政府は、積み重ねた知見を基に分かりやすく、納得感あるルールを広めていくことが求められる。

 見解は、政府コロナ対策分科会の専門家有志らがまとめた意見を踏まえた。政府は従来、屋外で周囲と十分な距離があれば外すのを認めているが、どんな状況なら不要か具体例を整理した形だ。

 徒歩での出勤時など外で人とすれ違うが話をしない場面や、屋内でも人の少ない図書館などで会話のない状況はマスク不要とした。一方で、通勤の電車内など間隔のとれない屋内では、会話がなくても着用を推奨するとしている。

 これまでのコロナ対策を通じ、接触感染より飛沫感染のリスクが高く、マスクの感染拡大抑止効果が大きいことは分かっている。

 ただ一様に着用を続けるのでなく、感染状況やワクチン普及を踏まえた合理的で、無理の少ない方法に柔軟に見直すことは重要だ。

 マスクは表情を読み取ることが難しく、幼児の発育に影響するとの声や、夏に向けて熱中症のリスクも考慮した。2歳以上の未就学児に一律に着用を求めないとする対応に戻したのも妥当だろう。

 専門家らが、公園の散歩や自転車での移動、学校での屋外の体育、休憩中の運動遊びなども感染リスクが低いとして不要と例示したのもうなずける。

 海外では、米国が全州で着用義務を廃止し、英国やフランスも不要とするなど経済回復に向けた緩和が進んでいる。

 日本は当初からマスクの義務化はせず、行政の呼びかけの形で取り組まれた。「周囲の目」も働いて浸透した半面、外すタイミングを巡るトラブルへの懸念も根強い。科学的根拠をもって政府が基準を明示することは外出の安心感にもつながる。

 感染再流行を防ぐ「3密」回避など基本的対策とワクチン追加接種率の向上を図りつつ、日常回復への着実なステップを積み重ねていくほかない。