PTAからの退会を求めても認められなかった体験を語る男性教員(京都市内)

PTAからの退会を求めても認められなかった体験を語る男性教員(京都市内)

 滋賀県内の小学校に勤務する男性教員から、PTAの退会が認められないことを疑問視する意見が京都新聞社に寄せられた。

 この教員によると、昨年11月、勤務時間外にPTAの会合や活動への参加を強いられることに疑問を感じ、「退会するので手続きを進めてください」と校長に伝えた。しかし、校長は「先生の将来」や保護者からの反発、他の教員とのバランスを挙げるなどして応じなかった。教員は今年3月末に改めて退会の意思を示すPTA会長宛ての書面を提出したが、4月に入ると、教員はPTAの一つの委員会の担当を割り振られていた、という。

 校長に取材すると「他の先生は頑張ってPTAを手伝っており、均等に仕事をしてもらいたいと思った」と説明。他の教員との関係悪化や、退会者が続くことも懸念したと語った。

 ただ、この地域の教育委員会によると、校長はPTAにとっては顧問の立場で、退会承認に関する権限はなく、校長への再取材でこの点を指摘すると「教員に『助言』したつもりだった」と釈明した。

 教員の話では、最近になって校長から「もう会費は徴収しないようにする」と言われたという。一方で、この小学校のPTA規約にはそもそも退会方法を記した項目がないと説明する。教員は「学校現場は残業が多く、多様な意見が認められる働きやすい職場にしたいのに、管理職は意見を真剣に受け取ってくれず壁を感じた」と訴える。

 PTAを巡っては2014年に熊本市立小の保護者が強制加入させられたとして提訴し、入退会自由の任意団体であると確認された。以降、保護者には加入届で意思確認をするなど見直しの動きもあるが、教員に関しては遅れている。

 実際、入会は「教員には意思確認していない」(京都府内の小学校長)とほぼ自動的なのが実情で、退会も「実例を聞いたことがない」(滋賀県内の自治体の教育委員会)。そもそも学校では教員がPTAに加入するのは当然との見方が強い。京都市内の学校関係者は「教員は子どものために保護者と接することが業務だと考えているためPTA加入が慣例となっている」、同市内の小学校長も「教員の場合は退会しようとしても他の教員や保護者の理解が得にくい」と明かす。

 退会が認められないことについて、立命館大法学部の木村和成教授(民法)は「自由に退会できる権利を侵害し、民法の不法行為に当たる可能性がある」と指摘する。「そもそも入会、退会の規定が規約にないのは任意団体として不適切な状態。だから、やめたい時にどこに言えば分からない。特に教員は上下関係が厳しく退会意思を言い出しにくいが、入退会ルールがあれば守ってあげられる」とし、入退会規定がない場合は自分たちで作っていくことも大事だとした。