キツネザルの中では特徴的な苦み感覚を持つワオキツネザル(愛知県犬山市・日本モンキーセンター)=糸井川さん撮影

キツネザルの中では特徴的な苦み感覚を持つワオキツネザル(愛知県犬山市・日本モンキーセンター)=糸井川さん撮影

 アフリカ・マダガスカル島に分布するキツネザルは種類によって苦みの感受性に違いがあることが分かったと、京都大のグループが発表した。キツネザルが進化の過程で一度失った苦みを感じる能力を、一部の種類が再獲得した可能性を示す。英科学誌に5日掲載された。

 「苦み」は毒性の有無に関わるため、食べ物を探す時に重要な味覚となる。ニホンザルなどさまざまな霊長類の苦み感覚の研究があったが、今回はマダガスカル島原産の複数種のキツネザルに着目した。

 京大霊長類研究所の今井啓雄教授と大学院生の糸井川壮大さんらは、愛知県犬山市の日本モンキーセンターで飼育するクロキツネザルとワオキツネザル、エリマキキツネザルの3種で、苦みを感じるタンパク質である受容体を解析した。

 その結果、アルブチンという果実の皮などにある苦み物質はワオキツネザルの受容体だけを活性化し、ほかの2種は逆に活性が低下した。さらに解析すると、ワオキツネザルはほかの2種と比べ、苦みを感じる受容体の構造に違いがあることが判明した。

 霊長類全体では、ワオキツネザルと似た構造の苦み受容体がある。そのためキツネザルの祖先は一度、アルブチンを感じる能力を失った後、ワオキツネザルに至って再び能力を獲得したとみられる。

 今井教授は「ワオキツネザルはほかの2種に比べて、さまざまな種類の食べ物を口にする。そのため毒性を見分けるのに必要な苦みの感受性が向上したのかもしれない」と話す。