災害復旧工事中の仁和寺・二王門(左)近くに位置するホテルの建設予定地=京都市右京区

災害復旧工事中の仁和寺・二王門(左)近くに位置するホテルの建設予定地=京都市右京区

 京都市右京区の世界遺産・仁和寺の門前に、高級ホテルが進出を計画していることが4日分かった。予定地はかつて、ガソリンスタンドとコンビニが出店を計画したが住民の反対を受けて撤回した経緯を持つ。今回は事業者側が住民側と約2年間かけて協議して計画容認にこぎつけた。一帯は大規模ホテルが建てられない用途地域だが、上質な宿泊施設を誘致するため土地規制を緩和する市の新制度の適用第1号を目指している。

 土地は、きぬかけの路を挟んだ同寺南側の民有地約3900平方メートル。重要文化財の二王門を間近に望み、世界遺産を保護するための「バッファゾーン(緩衝地帯)」にある。計画では、国内外でホテルや寮事業を手掛ける「共立メンテナンス」(東京都)が、地下1階、地上3階建て、延べ約5800平方メートルのホテルを2021年8月に開業させる。客室は72室を予定し、宿泊単価を高価格に設定するとみられている。

 この土地を巡っては15年にガソリンスタンドとコンビニが進出を計画したが、地元住民や仁和寺が「景観、住環境を悪化させる」と反対。24時間営業の見直しなどを要請し、結果的に計画は撤回された。その後、地元では建築計画に対して事前に事業者と協議ができる市認定の地域景観づくり協議会として「仁和寺門前まちづくり協議会」が16年に発足した。

 今回は、17年ごろから事業者側と同協議会が議論を重ねた。景観上、住民や観光客らに圧迫感を感じさせないよう建物を分割してずらして配置したり、周辺の住環境に配慮して大浴場の露天風呂を無くしたりするなど、住民の要望に応えた計画案を策定。今月上旬に開かれた協議会の総会では細かな要望はあったものの建設自体への反対はなかった。

 一帯は宿泊施設であれば延べ3千平方メートル以内しか建設できない第1種住居地域だが、事業者側は市の上質宿泊施設誘致制度の適用を受けて、建築基準法に基づく規制緩和を受けたい考え。現在、同制度に沿った手続きが進んでいる。

 同協議会の榊田隆之理事長は「観光地なのでホテルができるのは仕方ないが、景観や風情、静けさなど地域特性に配慮するようお願いし、一定受け入れられた。今後も協議を継続するが、地域と共存共栄し、市認定の協議会が機能したまちづくりの良い事例になれば」としている。