大学時代のサークルのポスターが破られた写真を見せる女性(大阪府内)※画像の一部を加工しています

大学時代のサークルのポスターが破られた写真を見せる女性(大阪府内)※画像の一部を加工しています

 京都の大学で、留学生や在日コリアンら外国籍学生が人種や国籍の違いを理由とした嫌がらせ「レイシャルハラスメント(レイハラ)」を受けるケースが起きている。1万人以上(2020年時点)の外国人が学ぶ「大学の街」だが、被害当事者は「よそ者を受け入れない空気が一部にある」と感じるという。専門家は問題が潜在化しているとして、大学による実態把握と対策が必要だと訴える。

 「本当に怖かった」。大阪府内在住の在日朝鮮人の会社員女性(26)は、京都市内の大学に在学していた16年に起きた嫌がらせを鮮明に記憶している。

 自身も参加する、朝鮮半島にルーツを持つ学生らで作るサークルのポスターが何者かに破られたり、部室前に「嫌韓」が題材の漫画が置かれたりした。犯人や目的は不明だったが、活動を控える部員が出るなど、萎縮を生んだ。「在日コリアン全てに敵意を向けられた気がした」と声を落とす。

 他にもゼミの授業では、教員から従軍慰安婦問題について、韓国の世論を代弁するよう求められた。センシティブな歴史認識の問題で返答に窮し、女性は「なぜわざわざ私に意見を求めるのか。本当に嫌だった」と声を震わせる。

 同志社大の大学院で学ぶ中国人留学生の男性(23)は、授業のグループ討論で「仲間外れ」にされたことがある。空き枠がありそうなグループに声を掛けても「満員だから無理」「友人がもうすぐ来る」と断られ続け、留学生同士で組むしかなかった。

 同じ経験をした留学生は少なくないといい、「僕らは日本人の学生と仲良くしたいのに、さりげなく『壁』を作られて距離を縮めにくい。外国人を遠ざける意識があるのかな」と苦笑いする。日本人の友達ができないまま、帰国する留学生もいるという。

 外国人差別問題に詳しい同志社大の板垣竜太教授(文化人類学)が大学内でのレイハラを多く耳にするようになったのは、10年ほど前からだ。教員が授業のテーマとは無関係に韓国や中国を批判したり、在日コリアンに対する差別的な意見を授業で紹介したりする例があったという。

 板垣教授は「中国人や在日コリアンだけでなく、現在はウクライナ侵攻でロシア人学生への嫌がらせも起こり得る状況だ。レイハラの被害者は声を上げにくいため、こうした被害は氷山の一角だろう」と指摘する。