検索サービスのヤフーを手掛けるZホールディングスと通信アプリのLINE(ライン)が、経営統合することで基本合意をした。

 ヤフーの約5千万人、LINEの約8千万人を合わせ、国内で利用者が1億人を超える最大規模のIT企業が誕生することになる。

 検索や通販、金融、会員制交流サイト(SNS)など、インターネットを通じた幅広いサービスの一体的な提供を目指すという。

 相乗効果を生んで世界の強豪がひしめくネットサービスで存在感を高められるか、利用者のメリットにつながるかが問われよう。

 ヤフーは、国内の草分けとして幅広いネット事業を手掛ける。ヤフーの弱点のSNS分野で台頭し、新展開を模索していたのがLINEだ。利用層はヤフーが年配者、LINEは若者に強く、統合は相互補完の意味合いがある。

 目指すのは、情報の送受や買い物、決済、食事の出前まで暮らしに便利なサービスを一つで賄える「スーパーアプリ」の確立だ。

 検索サイトやSNSの利用者が集まれば、獲得できる個人データが加速度的に増えていく。双方のビッグデータを活用し、客の好みに合ったサービス向上で集客を広げる好循環を図るという。

 そうした「プラットフォーマー」として君臨する米グーグルなど巨大IT企業4社「GAFA」や、急拡大する中国勢に対抗するのが、統合の大きな狙いだ。

 国内の地盤を固め、LINEが優勢のタイ、台湾などアジアを中心に「第三極をつくる」ことを掲げる。ただ、全世界で24億人が利用するフェイスブックをはじめ、桁違いの開きがある米中の巨大企業の背中を追うのは容易でない。

 利用者にとっては、便利さが増す期待の一方、データの一極集中が進む弊害も懸念される。大規模な情報流出のリスクに加え、必要なサービス利用のため提供した個人情報が、希望しない別分野に使われないかという不安は根強い。

 日本でも巨大IT企業の情報支配への規制を強める動きにある。情報の収集、使用をなぜ、どこまでするのか明確に説明し、同意を得て進めることが求められる。

 ヤフーとLINEは来年10月までの統合完了を掲げる。特定分野で寡占化して競争が滞らないか、公正取引委員会は慎重に統合を審査する方針という。両社は通販やスマホ決済など重複分野の整理・再編を進めつつ、より魅力あるサービスを打ち出せるかが統合の成否を分けるだろう。