京都すばる高で、髪型をツーブロックにした生徒。解禁を待ち望んでいたという(京都市伏見区・同高)

京都すばる高で、髪型をツーブロックにした生徒。解禁を待ち望んでいたという(京都市伏見区・同高)

「校則は最少化すべき」と話す片山教授

「校則は最少化すべき」と話す片山教授

 耳上や襟足を短く刈って上部の髪と段差を付ける髪形「ツーブロック」や男子の長髪が解禁されるなど、京都府立高で校則を見直す動きが出ている。これまでは「落ち着いた学習環境をつくるため」と厳しい校則を徹底してきた学校も、価値観の多様化や主体性の尊重を理由に緩和するようになってきた。ただ、まだ多くの校則は残っており、識者からは「校則はできるだけ最少化した方がよい」との指摘も出ている。

 京都市伏見区の京都すばる高は、本年度からツーブロックを解禁した。現在、この髪形で登校する3年の生徒(17)は「個性を縛る校則が改善されて良かった」と喜ぶ。

 同高の校則は、生徒の髪形を「清潔、端正なものとする」とし、ツーブロックは男子の長髪とともに禁止してきた。しかし、近年、関心が高まるジェンダー(文化的・社会的性別)や多様性に対応し、主体的に考える力を育成するため解禁を決めた。男子の長髪も後ろでくくるなどすれば可能とした。

 本年度からは全学年のクラス代表で「校則見直し検討委員会」を設け、希望する校則の変更を洗い出し、変えた場合の利点や影響を議論している。早ければ2学期からの実施を目指す。

 同高は商業学科で、卒業生の進路は就職も多い。貴島良介校長は「かつては企業から組織に従順な人材が求められたが、最近は自分で考えて実行する力が求められる。ツーブロックでも極端なものはだめだが、そこは自分で考えてもらうようにした」と話す。

 城陽市の西城陽高も、本年度からツーブロックを解禁した。北岸宏明副校長は「昔はツーブロックといえば奇抜なイメージもあったが、最近は少し高めの刈り上げ程度に社会の印象が変わった」と解禁の背景には価値観の変化があったと説明する。

 男子の髪形も「目、耳、襟にかからないこととする」との規定をなくし、長髪を可能にした。他にも電動アシスト付き自転車の利用や防寒着としてのダウンジャケットの着用も「高価で経済的負担がかかる」として制限してきたが、近年は安価な商品もあるため認めることにした。

 北岸副校長は校則について「今年から18歳が成人となることもあり見直しを進めたが、一方で落ち着いた学習環境を求める生徒や保護者の声もあり、徐々に変えていきたい」と語った。

 校則は全国で見直す動きが起きている。きっかけの一つは2017年に大阪府立高生が地毛の黒染めを強要されたとして府を提訴したこと。社会的な関心が高まり、文部科学省は21年6月、校則が時代に合った内容か見直すよう各教育委員会に通知した。

 東京都教委は同年4月、各都立高に対して「人権を保障したものか」「社会通念上、認められるか」などを基準に校則を点検するよう要請。24校であったツーブロックの禁止校は昨年12月にはゼロに減った。

 京都府教委も20年4月に全府立高の校則を調査した。甚だしく人権を侵害する内容はなかったが、下着のシャツや靴下の色を指定するなどの校則はあったという。府教委は「人権上、不適切な校則は許されない。関係者の共通理解が得られる校則を目指すべき」として各府立高に見直しを求めている。

 京都教育大の片山紀子教授(生徒指導)の話

 近年、外国籍や発達障害などに代表されるように、子どもたちが多様化し、校則で縛ること自体が難しくなっている。厳しい校則は少なくしていく流れにあるが、学校の荒れを経験した教員たちには「再び荒れたらどうする」との恐れもあり、見直しは道半ばだ。