4月末にオープンした樹木葬墓地。4~5月になるとハナミズキやドウダンツツジの花が咲くという(滋賀県彦根市栄町1丁目・蓮成寺)

4月末にオープンした樹木葬墓地。4~5月になるとハナミズキやドウダンツツジの花が咲くという(滋賀県彦根市栄町1丁目・蓮成寺)

滋賀県野洲市が整備する合葬墓のイメージ(同市提供)

滋賀県野洲市が整備する合葬墓のイメージ(同市提供)

 複数の人の遺骨を一緒に納める形式のお墓が全国的に増えている。滋賀県彦根市では合葬式の樹木葬墓地が開設され、野洲市は県内の自治体で初めて市営墓園内に合葬墓の整備を進めるなど、湖国でも動きが広まっている。核家族化や高齢化によってお墓の継承に悩む人が増えるなか、新たな選択肢として注目が集まる。

 彦根城近くの蓮成寺(彦根市栄町1丁目)にある樹木葬墓地。5月末に開かれた説明会に夫婦で訪れた男性(62)=同市=は「もうこんなに埋まっているのか」と驚いた。同墓地は「伊藤仏壇」(同市)が4月末に開設。ハナミズキやドウダンツツジの若木が植えられたお墓(2メートル×5メートル)に48区画を設けた。13年間は区画に納骨し、その後は血縁に関係なく一緒の空間に埋葬する寺院内の合葬墓に移される。

 すでに7割が生前契約で埋まっており、伊藤晃社長(66)は「需要の高さを実感している」と話す。篠崎さんは「一人娘に面倒をかけたくないが、初めから知らない人と同じ場所に入るのも抵抗感がある。ここなら13年間は自分たちだけの空間に入れるし、管理もしてくれるので良いと思う」と仮予約を済ませた。

 全日本墓園協会(東京)が2013年、1115人を対象に行った意識調査によると、世帯に墓地の継承者がいないと答えた人は約41%で、継承者はいるが負担はかけたくないと合わせると6割を超えた。

 こうした状況を受け、野洲市は市営さくら墓園(同市北桜・南桜)内に合葬墓の整備を決めた。2月には三上山が正面に望め、木々の緑の下に埋葬されるイメージ図を発表した。地中に1辺約2メートルの立方体の石室を設け、血縁や婚姻に関係なくお骨をそのまま一緒に埋葬する。約2千人分が収蔵可能だ。合葬墓は骨つぼを納める納骨堂と異なり、一度入れると取り出せなくなる一方、毎年の管理費を払う必要がなく、残された家族への負担が少ない。野洲市では使用料を5~10万円で想定し、年度内の完成と利用開始を目指す。

 寺などの墓を処分し、お骨を納骨堂などに移す「墓じまい」を考えたり、墓の継承に不安を抱く人の受け皿として合葬墓を整備する自治体は、都市部を中心に増えている。同協会の調査では、1994年時点で国内の合葬式の墓は寺院など民間も合わせて49カ所だったが、現在は550カ所以上に増加した。京都市では市営深草墓園(伏見区)に最大約3万人分が収容できる合葬墓を整備し、昨年秋に600枠を募集したところ倍以上の応募があり、抽選を行ったという。

 他県でも、申し込み開始と同時に予約が殺到するケースがあり、野洲市は利用を市民に限定する。西村拓巳環境課長は「お墓の在り方が多様化しており、先祖代々のお墓以外の選択肢を増やす目的で整備を進めている」と強調した。

 全日本墓園協会の横田睦主任研究員は「自治体が合葬墓を整備するのは経済的理由でお墓を用意できない人のセーフティーネットとしての意義も大きい」と話す。