台湾で和食を教えている先生が毎年、大勢の生徒さんを引き連れて、私のお料理教室に「日本の今の味」を求めてお越しになります。さまざまな和の香辛料が混ざり合った七味、砂糖がわりに白みそなど…これがまたプロ顔負けの知識があって、こちらも負けじといつも戦闘態勢。

 今年は紅葉が見られなかったとしょげる彼らに、真っ赤に染まった紅葉麩(もみじふ)を入れた水菜のたいたんをお教えしました。仕上げに秋の香りをと、ユズをギュッと搾ってお出ししたら、とても日本的だとみんなで手にとって喜んでくださったのですが、残念ながら台湾にはないのでパッションフルーツで代用しましょうという結論に至ったのでした。

 パッションフルーツ?! なんて斬新な発想なんでしょう。でも香り高く、今までにない台湾と日本の食文化が融合したレシピが私の頭の中で完成したのでした。日本の今の味、結局、彼らが私に教えてくれたようです。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan