結婚や出産を望む人々の不安を取り除き、安心して子育てができるよう後押しすることが政治に課せられた大きな課題だ。

 2021年に生まれた赤ちゃんの数は約81万人だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあってか、前年より約3万人減少した。第2次ベビーブームだった1973年の約209万人の約4割にまで減っている。

 合計特殊出生率は6年連続低下して1・30。政府目標の「希望出生率1・8」とは開く一方だ。

 内閣府が昨年公表した国際意識調査で、日本人回答者の6割が「子どもを産み育てにくい国」と感じているとした。フランスやドイツなどと比べて突出していた。

 少子化に伴い人口減少が進むことで、社会保障の担い手不足が深刻になり、経済活動の維持が難しくなるとの懸念が高まっている。将来のために子育てを社会全体でサポートする政策立案が一層求められている。

 日本の子育て関連支出は国内総生産(GDP)比2%に満たず、欧米主要国より大きく見劣りする。岸田文雄首相は関連予算を倍増すると表明したが、時期や財源については明確にしていない。

 さらに政府は来年4月、子ども政策の司令塔として「こども家庭庁」を設置する。育児支援や少子化対策で縦割りの弊害解消を掲げるが、学校教育は引き続き文部科学省が所管するなど中身の中途半端さは否めない。

 少子化や子育てに関する参院選公約で、自民党と公明党は「出産育児一時金の引き上げ」を掲げる。

 野党側は、「児童手当を高校まで延長、月額1万5千円に増額」(立憲民主党)、「実質的な出産費用の無償化」(日本維新の会)、「0歳からの保育料の軽減」(共産党)などを訴える。

 それぞれ経済的負担の軽減策を競い合う形だ。国の財政は借金頼みで、高齢者の社会保障費も増え続ける中、各政党とも子どものための予算をどうやって大幅に増額するのかも示さねば、実現はおぼつかない。

 今年4月から、男性も育児休業を取得しやすくなるよう改正法が施行され、不妊治療への保険適用もスタートした。どのような効果や影響が出たのか検証が必要だ。

 非正規雇用の拡大が結婚の壁と指摘されている。若者や女性の雇用環境の改善は少子化対策に欠かせない。